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五個嚇鬼的少年

愛するものとは?Shine 結成直後の徐天佑と黃又南が主演!

思わず涙がこぼれる!「家族の温かさ」に優しい気持ちになる、老若男女問わず楽しめる傑作。恐怖喜劇に分類出来る作品だが、喜劇色が圧倒的に濃く、無厘頭の要素も入って大充実。

五個嚇鬼的少年

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  • 導演:葉偉信
  • 編劇:郭子健/葉偉信
  • 動作設計:陳中泰
  • 監製:馬偉豪/江玉儀
  • 攝影:高照林
  • 配樂:韋啟良
  • 領銜主演
    徐天佑 … 陸寶寶
    黃又南 … 阿南
    李蘢怡 … Pricilla
    黃偉文 … 牧師
    許紹雄 … 寶寶の父
  • 主演
    苑瓊丹 … 寶寶の母
    李晉緯 … 陸寶貝(寶寶の弟)
    周樸夫 … 頭が三角形の医者
    少爺占 … Video Game 狂
  • 出品:美亞娛樂
  • 日期:2002年11月02日
  • 片長:95分
  • 対訳:怪物をものともしない五人の少年
  • English title: The Mummy, Aged 19

まさかの死を目前に『寶寶』は自分が「愛するもの」を思い出す。

19歳の少年『寶寶』は、ミイラに封印されていた古代の魂に、肉体を乗っ取られてしまった… あり得ない状況に陥った、その時、そこには普段うざいとさえ思っていた家族の支えがあった。

監督は、宇宙最強・甄子丹との連携で《殺破狼》《龍虎門》《導火綫》《葉問》といった最高傑作を連発した超人、葉偉信である。主演は Shine 結成から間もない二人、徐天佑と黃又南。そして、歌手として 1st Album を release したばかりの Canada の李蘢怡が出演。当時 Shine の二人は19歳、李蘢怡は20歳で、ほぼ同年。息もぴったりだ。加えて《暗戰2》でも見せた、許紹雄のとぼけっぷりが最高!

『寶寶』と名前を連呼する、うざい親父!

本作の冗談を理解するには、僅かながら中国語の基礎知識が必要だ。徐天佑が演じる主人公の名は『陸寶寶』という。『寶寶』は中国語で「坊や」の意味を持つ可愛らしい言葉。それ故に『寶寶』は街中で、父親に大声で名前を呼ばれると恥ずかしい。家族に内緒で「戸籍上の名の変更」する程までに、その名を嫌っている。父親は、そんな息子の心中などお構いなしで、返事をするまで息子の名前を連呼する。父からすれば、愛する息子にぴったりの名前なのだ。この「幸せな父親」に許紹雄とは…なんという適役!なお「囉」などで表される『寶寶』の感情は、英語字幕において都度 "Corny" と対訳されている。日本語にすると「うざい」といった感じ。

手頃な価格で、味も抜群!の「大家樂」だが、家族の晩餐には…?

『寶寶』の父は、家族で「大家樂」(Café de Coral) に行くことが幸せだと感じている。『寶寶』にとって、これまたうざいことなのだ。「大家樂」は、日本で言うところの定食屋。僕は初の香港観光で、尖沙咀加連威老道96號にある大家樂に行った。事前情報を得ていた訳ではなく、ぶらりと入った。手頃な価格で、味も抜群!店内も洒落ている。なにより台湾同様、香港の美女率は異常に高いので、バイトの女の子が可愛い。是非また行きたい店なのだが、しかし、多忙な勤労者や学生を対象としたお店だけに、家族の晩餐に選ぶとなると…子供が「そこかよ!」という気持ちになるのはわからなくもない。反面、父親世代の青年期には、こんな洒気が利いたたお店は存在していなかった。父親にとって「大家樂」は文句なく豪華なのである。つまり『寶寶』の家族は「世代の差」をまったく意に介していないのだ!

大家樂 尖沙咀加連威老道96號
大家樂 尖沙咀加連威老道96號

※写真は2014年04月末の香港旅行時に撮影したもの。「吉列厚切黑豚飯」の美味さに感動、忘れないように写真で記録したのだ。日本のカツカレーの輸入版だが、僕はこんな美味いカツカレーを日本で食ったことはなかった!あ、なにげに杜汶澤がいる。

19歳にもなって、家族で「海洋公園」かよ…

『寶寶』の家族の思い出の場所は「香港海洋公園」(Ocean Park) だ。 家族で遊びに行くとなると、ここになる。母親は海豚型の浮き輪まで用意するという天然さ。母親役には、喜劇において娼館の女将や熟年娼婦役が定番の苑瓊丹。許紹雄と苑瓊丹が両親ってのは、確かに悩みそうだ…『寶寶』は「うざっ!」とぼやくしかない。19歳になる『寶寶』にとって香港海洋公園は、恋人と行くには楽しい場所だが、いまさら父・母・弟と一緒に行きたい場所ではない。では、弟はどう思っているか?というと、彼はまったく「悩みがない少年」なのだ。悩み多き兄からすると、弟は発達障害にすら思えてくるほどだ。ひとり苛つく『寶寶』と、彼の機嫌が悪い理由を、さっぱり理解出来ない家族。この対比が、なんとも切なく、それでいて爆笑を誘う!成人手前の19歳は繊細なのだ。

当たり前過ぎて、忘れてしまっているもの

つまり『寶寶』の家庭は幸せに満ち溢れ、明るく楽しい。両親の愛を目一杯受けて育っている『寶寶』にとって、それは「当たり前」の日常なのだ。親の愛が邪魔臭くになるほど幸せなのである。『寶寶』はバイクの免許を取得するため、両親に費用の負担を頼むが「バイクは危ないから駄目!」と却下されてしまった。そこで『寶寶』は、両親に黙ってバイトを始める。とある金持ちの家の警備員の仕事である。その金持ちは芸術品などの蒐集を趣味にしており、豪邸の地下には文化遺産である「ミイラ」が二つ保管したあった。棺桶に入った母親と子供のミイラである。棺桶の上部には「三角形」の印がある。これで死者の魂を封印しているのだという。しかし、この封印が偶発的な事故で解けてしまった!事故によって包帯がほどけたミイラの肉体は崩壊するも、その魂は現世に蘇り、間近にいた『寶寶』に取り憑いた。

三角形の悲劇!

悪霊が口から入り込んだせいなのか『寶寶』の口臭は異常にきつくなった。余りに口が臭いので、友達の Pricilla はが『寶寶』を医者に連れて行った。その医者が変!異様に頭髪が多くて Pyramid のような三角形の頭をしているのだ。おまけに酷く、やる気がない。適当な診療をして「大丈夫だから、さっさと帰れ。」と繰り返す。このヤブ医者は何の足しにもならなかった。そこで Pricilla が通う Christian 教会の牧師に助けを求めたところ、牧師は『寶寶』に取り憑いた悪霊を払うため、祈りを連発。やたら Oratorio "Messiah" の Hallelujah を大声で歌う、この牧師もどこか変である。結局『寶寶』の状態は悪化し、悪霊に精神を浸食されてしまう。ミイラの封印が三角形であったため「三角形のもの」を憎むようになった。三角形…街に彷徨い出た『寶寶』は、あのヤブ医者と偶然に遭遇。三角頭で怒りを買った医者はボコボコにされた!さらに家では、弟が Toblerone を食べていた。三角形を憎む『寶寶』は、弟をぶん殴る。弟は、母親に「兄が殴って、おやつを奪った!」と報告。母親は「そんな歳じゃないでしょう!」と嘆く…哀しみの連鎖。大いに笑わせてもらった。

家族で行った遊園地

『寶寶』の魂は、取り憑いた悪霊によって肉体から追い出されそうになっていた。もはや動くことすら、ままならない。夜明けには死ぬのである。この窮地に、恋敵として対立していた親友『南』が駆けつけた。Pricilla も牧師を連れて来た。改めて友情を知った『寶寶』は、親友を出し抜こうとした己を恥じる。これぞ青春!しかし、ここで残りの一体のミイラの封印が解ける。『寶寶』に取り憑いたのは子供のミイラ。母親のミイラが復活し、子供を探しにやって来た…つまり、子供の霊が憑依した『寶寶』を奪いにかかる!絶体絶命の状況の中、ついに『寶寶』の家族が揃った。逃げるわけにはいかない。『寶寶』の呪いを解くには、ミイラの包帯が必要なのだ。

弟が考えた奇策で、棺桶に乗り込み階段からミイラへと急降下する『寶寶』一家。まるで Roller coaster のようだ。怒り狂ったミイラに右へ左へ振り回される棺桶、至るところで起きる爆発!危険な状況ながら、その光景は『寶寶』に、幼少期に家族で行った「海洋公園」の花火を思い出させた…そこはもう遊園地。この最終局面で、感動が波のように押し寄せてくる。

自分の19歳時に見ておきたかった…と切に思う作品

『寶寶』が最も愛するものとは何だったのか?その答えに、涙で画面が見えなくなる。19歳の少年は、成人後には独り立ちするだろう。家族と会う機会もめっきり減るはずだ。独立一歩手前で、大切なものを思い出せた意義は、この後の人生において余りにも大きい。もしも『寶寶』が何事もなく成人していたら、家族と絶縁状態になる可能性は高い。このミイラ事件を乗り越えたからこそ、年齢だけではない「心の成人」を迎えることが出来たのだ。僕は、こんな素晴らしい作品を、自分の19歳時に見ておきたかった…と切に思う。

黃又南の実力は若手随一だ!

《葉問》海報
葉偉信《葉問》2008

僕は、黃又南を《葉問》で初めて見て、実に良い俳優だと感じた。その後に見た《打擂台》での演技も抜群に良かったし、小さい役ながら《少年阿虎》《鬼馬狂想曲》の出演も見ている。僕が見た作品では、概ね「軟派な青年だが、心根は優しい」という人物設定の役ばかりで、完全な英雄役というのは見たことがない。演技の実力は若手随一、主役が似合う俳優なので、是非とも黑幫電影などで主演して欲しい!

五個嚇鬼的少年という題名について

本作の題名は、英題「19歳のミイラ」の方がしっくり来る。恐らく英題が正式題で、香港題の方が後付けだろう。販促用 Visual からすると「五個」に含まれるのは、徐天佑・黃又南・李蘢怡・李晉緯・少爺占だが、実際に活躍するのは、徐天佑・黃又南・李蘢怡の三名。次に重要度の高い役は黃偉文が演じる牧師である。童星の李晉緯は、終盤でのみ活躍。歌手が本業の少爺占に至っては、僅か一分程度しか画面に映らない特別客串といったところ。Producer の強権発動で無理矢理な題名になったのだろう。

日本版の Release について

日本では MATV でのみ放送された模様で、劇場未公開かつ Package 化もされていない。僕は尖沙咀の HMV で購入してきた VCD で本作を見た。VCD は、当然ながら画質も音質も YouTube の HD 以下なので Amazon.co.jp で購入出来る輸入盤の DVD が推奨。YesAsia では2015年10月現在、在庫切れ。VCD は左音声が粵語、右音声が國語となっており、字幕は國語と英語が同時に表示される。僕は MPlayer で見たので Stereo Mode を Left のみにした。これで Mono ながら左右から粵語が流れる。

香港の DVD には必ず英語字幕が付くので言語面には問題がないが、本作の序盤には「香港文化に根ざした冗談」が多数盛り込まれており、僕には理解できない部分があった。字幕の英語訳は、原文をほとんど端折っていないようで基本的に長い。それでいて、台詞に合わせて消えるので、かなりの速読力が要求される。僕は、何度か一時停止する必要があった。終盤の牧師の台詞で、字幕が存在しない箇所があったり、一秒未満で字幕が消える…格闘ゲームで言うところの Frame 単位での視認が要求される箇所がある。この速度で消えては、字幕が表示された箇所で一時停止することも不可能だ。美亞娛樂資訊集團有限公司の正規版 VCD だが、字幕処理は大雑把。

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