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2019 – Dopo la caduta di New York

人類の新たな Eve は目覚めた時に微笑むか?

主人公 Parsifal の名に隠された主題 Erlösung dem Erlöser(救済者に救済を)そして Salomé の逸話と Mitochondrial Eve の学説、さらに Planetary habitability(惑星の居住可能性)が考証された世界観が、物語に奥行きを与える。ただし、キリスト教文化圏の古典芸術作品と、基本的な Sci-Fi の知識がなければ本作への理解度は著しく低下するだろう。

2019 - Dopo la caduta di New York

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  • Regia: Sergio Martino
  • Soggetto
    Ernesto Gastaldi
    Sergio Martino
  • Fotografia: Giancarlo Ferrando
  • Musica: Guido e Maurizio De Angelis
  • Produttore: Luciano Martino
  • Interpreti
    Michael Sopkiw … Parsifal
    Valentine Monnier … Giara
    Romano Puppo … Ratchet
    George Eastman … Big Ape
    Anna Kanakis … Ania
    Hal Yamanouchi … Rat Eater King
    Serge Feuillard … Eurac Commander
    Paolo Maria Scalondro … Bronx
    Louis Ecclesia … Shorty
    Giovanni Cianfriglia … Panther
  • Anno / Durata: 1983 / 96 minuti
  • Lingua originale: English
  • Produzione
    Italia: Nuova Dania Cinematografica / Medusa Distribuzione
    France: Les Films du Griffon
  • Titolo
    Francese: 2019 après la chute de New York
    邦題:サイボーグ・ハンター ニューヨーク2019年
    対訳:2019 – ニューヨーク崩壊後

Space opera

核戦争で崩壊した世界、生殖能力を失い絶滅に瀕する人類。Cold sleep によって過去を知らぬ Eve が目覚め、真実を知った時、何を思うだろうか。そして「愛なき」生殖実験によって生み出される人類は、やがて同じ過ちを繰り返すだろう。作品を支配する痛烈な Nihilism こそ監督 Sergio Martino の個性。世界を破滅へと導いた Eurac そして Eurac により壊滅させられた米国、どちらも同じ穴の狢として扱われ「善」としては描かれない。そこにあるのは人間の身勝手さのみ。Post-Atmico というより、むしろ高度な Space opera の色が濃い異色の傑作。

Il prologo:序章

1999年 Euro, Afro, Asian(欧州・アフリカ・アジア)の同盟 Eurac(ユーラック)は米国に対し、核の投入を決定。Eurac は勝利を得るも、核戦争に突入した世界は崩壊した。そして、人類は汚染され生殖能力を失った。

20年後の2019年、生まれてくるのは Mutant(突然変異体)だけであり、人間の子供は15年もの間ひとりも出生していない。人類は既に絶滅の危機に瀕していた。世界の統治者となった Eurac は各都市に Mercenary Hunter(傭兵狩人)を派遣した。世界を浄化すべく汚染された個体を抹消し、子孫確保のため健康と思しき個体を実験施設へと連行するのである。

Alaska 州において極秘裏に再建した New Confederacy(新合衆国)の大統領は、生殖能力を保有した女性が Manhattan のどこかに存命しているという情報を得た。New Confederacy の選ばれた人物たちは、人類の新たな Eve となる Fatal woman(運命の女性)を連れ Habitable zone を有する Alpha Centauri(ケンタウルス座アルファ星)へと移住し、人類を再生するつもりだ。この Fatal woman 奪取という極秘任務に対し、白羽の矢を立てられたのが大統領旧知の元軍人 Parsifal であった。

Fatal woman の存在を Eurac に悟られぬため、任務は極秘かつ少人数での決行を余儀なくされる。成功の確立は高くないだろう。報酬は、汚染された地球からの脱出。Alpha Centauri へと旅立つ宇宙船の席のひとつが Parsifal に与えられるという。かつて大統領に捨て駒として使われた Parsifal にとって、信じられるはずもない約束だ。しかし New Confederacy 本部へ強制連行された Parsifal に選択肢などあるはずもない。米国の野望、そして Parsifal に託された人類の未来の行く末は…

I personaggi

  • Parsifal

    2019 - Dopo la caduta di New York - Parsifal

    殺し合いで賞金を稼ぐ、凄腕の元軍人。New Confederacy の大統領に脅迫される形で Fatal woman 奪取へと駆り出される。戦況を顧みず弱者救済に走る無鉄砲な面もあるが、その優しさが味方を増やす。二枚目の容姿も、時として大きな武器となる。正義と Charisma を兼ね備えた、理想的な指導者型英雄。

  • Ratchet

    2019 - Dopo la caduta di New York - Ratchet

    New Confederacy 最強の戦士。右手首から滑り出す Bola を投げつけ敵を粉砕 。Bola を繋ぐ鉄線は絞殺にも用いられる。はぐれた仲間を捜索する為の Body senser も所持している。感情が先走る Parsifal の命を幾度も救う影の主役。終始冷静だが Big Ape と力自慢を競ったりと、意地っ張りな部分もある。

  • Ania

    2019 - Dopo la caduta di New York - Ania

    Eurac の幹部である絶世の美女。捕虜にした Parsifal に一目惚れし、情報提供すれば愛人にして命を保証すると提案。渋々米国に従っている Parsifal は、にべもなく Fatal woman についての情報を流した。その後、脱走した Parsifal を追い詰めるが、あくまでも愛人にするためであり、命まで奪うつもりはない。

  • Bronx

    2019 - Dopo la caduta di New York - Bronx

    右手を機械の義手にした元科学者。Manhattan 出身であり土地に明るい。戦闘は不得手だが、見かけによらず肝が座ったド根性野郎。Eurac の捕虜となった際は、過酷な拷問に耐え Fatal woman の秘密を守り通したが、一方の Parsifal は美女と戯れ、あっさりと情報を吐いていた。外見で運命が変わることは…ある。

  • Big Ape

    2019 - Dopo la caduta di New York - Big Ape

    Gorilla のような一族を率いる Mutant の王。アラブ系を連想させる出で立ちで、曲刀を振る。Parsifal に協力するが、目的は自身の子孫を残すことであり、信頼出来る仲間とは言えない。Romano Puppo も 180cm を雄に超える長身だが George Eastman は、さらに頭ひとつ分ほどでかい。

  • Giara

    2019 - Dopo la caduta di New York - Giara

    ドブネズミを銛で突いて捕獲し食糧とする Needle 族の一員であった女性。汚染されていない健康体であり Fatal woman だと推定される。Western 調の衣装も凄く可愛い。演じる Valentine Monnier は France の女優。本作の翌年 Shark – Rosso nell’oceano で再び Michael Sopkiw とのコンビで主演している。

  • Shorty

    2019 - Dopo la caduta di New York - Shorty

    Dwarf 族のひとり。もはや世界に存在するはずがない子供と間違えられ Needle 族の禿頭の巫女に狩り立てられるが Parsifal によって救出された。Fatal woman を知る重要な存在。

  • Rat Eater King

    2019 - Dopo la caduta di New York - Rat Eater King

    絶滅に瀕する人類を嘆き、新生児誕生を神に祈る宗教的 Commune を形成する Needle 族の指導者。完全に汚染されており、狂気走っている。鞭を自在に操る。Hal Yamanouchi の怪演は要注目。

  • Eurac Commander

    2019 - Dopo la caduta di New York - Eurac Commander

    Eurac の最高責任者であり、現世界の支配者。立場の割に、悲惨な目にばかり遭う受難の男。悪役ながら可哀想なので、応援して欲しい。演じる Serge Feuillard は France の TV series を主体とする俳優。

2019 – Dopo la caduta di New York 考察

本作は、やや難解である。隠された各要素に「気が付くか、気が付かないか」で受け取る印象は違うだろう。先にも述べたようにキリスト教文化圏の古典芸術作品と Sci-Fi に馴染みがないと理解が困難な Plot で埋め尽くされている。とりわけ僕らのアジア圏では解釈が難しいと思われる。良くも悪くも、人を選ぶ作品に仕上がっており、不穏な空気を漂わす Ending は、視聴者の理解度によって大きく、その「意味」を変えるはずだ。

Parsifal の名の由来:Erlösung dem Erlöser

本作の主人公 Parsifal は一般的な名前ではない。Wilhelm Richard Wagner の舞台神聖祝典劇「パルジファル」の主人公から取ったと考えて間違いないだろう。本作には Erlösung dem Erlöser(救済者に救済を)という主題が隠されていると見て良い。

Fatal woman = Famme fatale = Salomé

Fatal woman 即ち、仏語の Femme fatale である。連想されるのは Salomé だ。伊仏合作である本作の Fatal woman を Femme fatale と捉えても不自然はない。世紀末芸術の主題として好まれた Salomé は Post-Atomico の世界観にぴったりだ。悪女が望むものといえば Jean le Baptiste(ヨハネ)の首。本作でヨハネに相当する人物は、人類の未来を託された主人公 Parsifal である。つまり彼は、死ぬ運命にある。Erlösung dem Erlöser(救済者に救済を)という隠れた主題、その返答は「救われない」である…

One fatal woman is not enough to recreate the entire human race.

『運命の女性がひとりいたって、全人類の再生には不十分だ。』この台詞は、人類の進化に関する Mitochondrial Eve の学説に基づくはず。詳しくは Wikipedia の解説を参照してもらうとして、至極簡潔に言えば「人類はたった一人の女性の子孫ではない」ということ。しかし医学が発展した世界では、人工授精によって、一人の女性からでも人類を再生できるという訳である。

Alpha Centauri

これも学術知識に基づいた設定である。Alpha Centauri は太陽系から最も近い恒星系であり、太陽系から最も近い太陽系外惑星である Alpha Centauri Bb(ケンタウルス座アルファ星Bb)は Habitable zone(生命居住可能領域)を有しており、地球型惑星が存在する可能性がある。とは言え、本作の舞台である2019年が4年後に迫った2015年現在の技術でも、数万年かけなければ辿りつけない場所なのだが…そこは Sci-Fi 作品の夢の部分である。

人類の新たな Eve が最初に身籠るのは…

Fatal woman が最初に身籠るのは Big Ape の子供、つまり Gorilla mutant である。もちろん人類も生み出されるであろうが、人類の新たな星となる Alpha Centauri には Gorilla mutant も同時に存在し、なおかつ彼らが先住民族となる可能性がある。人類の歴史を鑑みれば、異人種間闘争は避け難いであろう。Parsifal は無感情に『あいつが種なしでないことを祈るよ。』と吐き捨てた。完璧なまでの皮肉である。

Cinema Italiano は本家を超える!

本作は伊仏合作の Europe 映画である。Hollywood との根本的な違いが、少しでも伝わっただろうか。Exploitation などと断定しても己の教養の低さを曝け出すだけだ。米国至上主義の旧世代は、作品批判する前に、まず自分自身の「見る目」を自己批判していただきたい。故に僕は自信を持って「Cinema Italiano は本家を超える!」と叫び続ける。そして、その「見る目」が偏見なき新世代によって養われ、広がりつつある現状に大きな希望を持っている。Euro 映画ファン、香港電影ファンは、圧倒的多数の盲目的米国至上主義者と戦う Apache である。

日本版 VHS の状態

本作の台詞は全編に渡り、英語で発声されている。英語が得意なら米国版 DVD が圧倒的におすすめだ。日本版 VHS は 4:3 の米国版に字幕を付けたもの。IMDb の掲載と同様96分あるので Cut はないと思われるが、字幕は問題がある。翻訳者に一般教養と Hearing 能力が欠如しており Parsifal が「パーシバル」などと誤記されてしまっている。Fatal woman についても「運命の女性」という重要な対訳を施さず、単なる女性として扱っている。やはり英語を聞き取れないと駄目。字幕は台詞の大意のみを機械的に翻訳したものなので内容の目安にしかならない。正直言って、この程度の翻訳なら Google translate で置き換えられる…この翻訳者 Cyborg だろ!

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