Heijastin

龍在江湖

激怒。

華仔演じる主人公『韋吉祥』が「ただの女たらしの自業自得」になってしまったのは、もう許し難い。僕が知る王晶導演、華仔主演作で唯一無二の駄作。ともかく脚本が破綻している。

王晶《龍在江湖》1998

Amazon 维基百科 百度百科 香港影庫 HKMDB

最新流行摘要影片

王晶
王晶導演:吉祥が死ぬのは理不尽だよ!

率直に言うと、華仔信者の僕でも…いやむしろ Die-hard な華仔信者であるからこそ「認められない!」という強い拒絶反応が出る作品であった。

本作は王晶導演が自身で脚本を書き、監督を行い、自費を投資してまで製作した Self-Produce 作品。1998年の作品である。香港返還後の影圏を鑑みると、資金調達に多大なる苦労があったことは容易に想像が付く。

ここまでの情熱を持った映画人、そうは存在しない。王晶導演は尊敬しているのだが…同年の《賭俠1999》に注力し過ぎた為か、本作の脚本は正直言って雑だ。製作陣、俳優陣ともに「慌ただしかった」程度の記憶しか残っていないのではないか。

商業的には成功を収めた作品である。しかし、これは返還後の観客、つまり娯楽に飢えていた当時の内地人を考慮すべきだろう。過去の名作の模倣、露骨な Hollywood の模倣など「知らぬが仏」である。本作は内容云々よりも「いまどきの流行まとめ映画」として機能したのかも知れない。

死剩把口

劉德華《你是我的女人》1998
劉德華《你是我的女人》1998

本作の片頭曲は《死剩把口》この歌が抜群に格好良い!主題曲である《你是我的女人》もまた名曲。どちらも華仔の作詞・歌唱。

収録は本作と同年、1998年に発表された粵語專輯《你是我的女人》である。本作の主題曲と同名なので覚え易い。この專輯はなんとかして入手したいのだが US 経由の中古盤は、本体¥300ながら、なんと送料¥1,500という酷さ。ほぼ個人輸入の次元である。

開幕《死剩把口》の格好良さには「凄い影片が始まった!」と物凄く期待した。まさか、こうなるとは…

2017/05/22《你是我的女人》特別版入手!

二年越しの念願叶う。Amazon Japan Market Place 経由で、送料合わせ¥1,153で「特別版」を入手。商品説明がないのは毎度のことなので仕方ないが、これは商品題名ですら「你」が文字化けていたり、商品画像もなかったり…と、購入は「博打」だった。僕は「Disc だけでも欲しい。この価格なら箱がボロボロでも我慢出来る。」という意識だったのだが…届いてみれば、外箱に損傷が目立つものの CD Case と Discs は準新品。しかも VCD 付属の特別版。結果的に博打に勝った形になったが、衝動的で馬鹿な買い方だった。それでも、欲しかったんです。

電影《龍在江湖》日版DVD + 劉德華《你是我的女人》特別版
電影《龍在江湖》日版DVD + 劉德華《你是我的女人》特別版

黑幫電影 + Legal Suspense

John Grisham - A Time to Kill (1989)
John Grisham "A Time to Kill" 1989

返還直後だけに「香港電影らしい独自性」を強調して欲しかった。Hollywood の Follower になるのではなく、勝負を挑む気概が欲しい。

黑幫電影の復讐劇・略奪愛・Legal Suspense(法廷劇)そして《天若有情》Homage …というか、ただ真似したかっただけ。雑多に詰め込まれているが、すべての要素において底が浅い。

王晶導演は、自身で黑幫電影も愛情片も撮ってはいない。Producer から喜劇ばかりを要求され、他分野に挑戦出来ない、という無念もあったとは思う。Self-Produce なら思いのままに映画が撮れる…それにしては、商業主義に偏り過ぎだ。

Legal Suspense

完全に当時の Hollywood の流行をブチ込んだだけ。90年代後半の代表的な米国映画を列挙する。

Legal Suspence は小説だと面白いが、映像化すると退屈になる理由は明確だ。まず「眉間に皺を寄せた口喧嘩ばかりで動きがない」そして、架空の世界の中でまで「理屈だらけの役所手続き」を見たい奴なんかいないからだ。映画だからこそ勧善懲悪が成り立ち「法で裁かれぬ悪を派手に裁く」ことが出来る。それを忘れてはいけない。

置き去りにされた Ruby

Legal Suspense の真似事をするべく Michael と Sandy の Side Story を盛り込んだのは明白。その為に Ruby が単に、泣きを見ただけの女性となってしまった。あんまりだ。悲惨で Shocking であれば客が喜ぶ、とは大間違い。Heroine は Sandy と Ruby どちらかに絞るべきだったのに、どちらにも絞れず。關秀媚も、梁詠琪も、どっちも可哀想だ。

缺乏

華仔 - 王晶《龍在江湖》1998引用:龍在江湖劉德華紋身照片及資料 5d明星網

『韋吉祥』が復讐を果たすべき相手は『太子哥』であるはず。引いては自身が所属する組織に謀反を翻してこそ Antihero としての醍醐味と Catharsis があったはずだ。『喪波』はむしろ韋吉祥の味方となる方が劇的であった。喪波に復讐を果たしても、何の意味も無い。

華仔影片だから、取り敢えず主人公を殺すという安易な収束

Legal Suspense で走るかと思いきや、復讐劇と行ったり来たり。収集がつかなくなって「取り敢えず主人公を殺す」という安易な結末も受け入れられない。

華仔だから《天若有情》をやれば女性ファンに受ける、という発想は余りに短絡的だ。これでは、形骸だけの虚ろな影片になって当然。

抜群の俳優陣は魅力

梁詠琪と關秀媚の共演は豪華かつ貴重。華仔が李燦森と共演するのも実は珍しい。陳惠敏も出演!脚本の乱れがなんとも悔やまれる…

氾濫する海賊版 VCD

「映画人の怒り」には説得力がある。この当時の、深刻な社会問題を Legal Suspense の主題にすれば、大きな波紋を投げかける作品にも出来ただろう。ただ、黑社會の方々の反応が恐ろしすぎる、という部分はある。

その後の華仔と王晶導演

王晶《未來警察》2010
王晶《未來警察》2010

2000年から約十年間、王晶導演・華仔主演の影片は途絶える。致し方のない結末だ。数々のヒットを生み出した両者の共作は、華仔信者に多方面から凄まじい衝撃を与えた、2010年の《未來警察》で一作限りの復活を遂げる。

《未來警察》は CG がなければ非常に完成度の高い作品であった、と言えるし、反対に CG がなければ成立し得ない作品でもある。

華仔が Cyborg 化するという凄まじく胸踊る展開。范冰冰との夫婦役、さらに二人の子供役に《長江7號》の徐嬌。余りにも興味深い家庭環境である。さらには大Sまで出演という豪華絢爛さ…范冰冰と大S共演という大事態である。

やたら滅法ファン心理を刺激しまくる作品なのだが、少なくとも華仔影片を20本以上は見てからの視聴を強く推奨する。Catchy な内容でありながら、心底楽しむには、影圏や中華圏の文化に対する知識と理解が必要。初心者には敷居の高い作品。

Tags