Heijastin

Filmografia incompleta dei Post atomici

今こそ Italia ならではの Originality を再評価すべき時!

1982〜84年という短期間の流行ではあるが Post Atomico には、1960年代の Spaghetti Western から脈々と受け継がれてきた Il sangue d’Italia(イタリアの血)が通っている。家族愛と友情がある。美しい女性と勇ましい戦士、そして、お洒落さと心震わせる音楽がある。屈指の傑作が揃った、このジャンル。どれも見逃せないぞ!

Anna Kanakis in I nuovi barbari
Anna Kanakis in "I nuovi barbari"

2015年現在では Castellari 監督三作と Carnimeo 監督作が、本国に先駆けて米国で Blu-ray 化されたのだ!Mad Max: Fury Road が公開された余波もあるだろう。しかし、米国が舞台となるジャンルであるため、米国映画ファンからの注目度も高かった。僕は猛然と四作を購入。販社の体力を鑑みると Italia では Blu-ray 化されない可能性がある。

残念ながら、いずれも「日本版VHSは無価値」である。所持している僕が言うのだから間違いない。パッケージこそ立派だが、肝心の中身が偽物なのだ。いずれの作品も「米国販社が勝手に内容をカットした改竄版」であり、画面は左右ぶった斬りの極悪テレビサイズ。VHS のみの発売で経年劣化も当然ある。ぼったくり中古業者に詐欺られないように!米国版 Blu-ray または DVD を入手すべし。

1982

1990: I guerrieri del Bronx

1990: I guerrieri del Bronx

当時、若干17歳にして既にカリスマ的渋さを発する『トラッシュ』役の Mark Gregory に要注目!Fred Williamson が演じる『オグル』の仕込み杖も格好良く、その死に様も渋すぎ。細部までがっちり創り込まれた Post Atomico 最高傑作。監督本人を含む Castellari 親族の客演も見逃せない。それにしても日本版 VHS cover は奇妙。わざわざ横配置にしてまで、この写真を選ぶか…

Anno 2020 - I gladiatori del futuro

Anno 2020 – I gladiatori del futuro

キリスト教圏では公開禁止処分となっておかしくないほど暴力性が高い。Al Cliver が途中退場し Peter Hooten が主役的位置を代替するが…最終的には Sabrina Siani が主役であったと思える。脚本の錯綜は気になるが、有無を言わせぬ勢いがある。

奇抜な衣装と明確な個性を持った登場人物たち、勧善懲悪の展開、緊張感溢れる劇伴で充分に楽しめる。頭部の怪我から間もない Donald O’Brien が半身麻痺したまま出演、壮絶な役者根性を見せつける!Post Atomico 常連俳優となった Hal Yamanouchi のジャンル初出演作でもある。

1983

Anno 2020 - I gladiatori del futuro

I nuovi barbari

I guerrieri del Bronx と並ぶ傑作。主人公『スコーピオ』が半端なく渋く、ラストでは拳銃を構え、狂気の白騎士団長ワンと西部劇を彷彿とさせる一騎討ちがある。ナディールの爆撃用弓矢や、天才少年科学者(ご存知「墓地裏の家」などの通称ちびボブ)がチューンするスコーピオ専用マシンなどギミックもふんだんに盛り込まれており、暴徒に襲われ瀕死となった村人役で Castellari 監督自身も登場。

また、1977年度ミス・イタリア並びに1981年度ミス・ユニバースの Anna Kanakis(アンナ・カナキス)のセクシーな衣装も要注目。あらゆる点で見応えあり。Simonetti によるテーマは力強く、凄まじい迫力!

日本版VHSは画面が編集により壊されている。原画の左右、時に上部もカット、トリミングではなく、ただ切っている。ジャケはプロモーションショットで貴重だが、作品の内容を反映しておらず、邦題も珍妙。日本版は存在するだけマシという程度。

Fuga dal Bronx

Fuga dal Bronx

今回の主役は2人。トラッシュ (Mark Gregory) と、ブロンクス最強の戦士ストライク (Giancarlo Prete) だ!この『ストライク』という英雄は、疑いなく I nuovi barbari のヒーロー『スコルピオン』の別人格。この2人の活躍が見れるだけで爽快感あり。Giancarlo Prete の実の息子と思しき少年も大活躍する。また Henry Silva を敵役に Antonio Sabato もゲスト出演。Romano Puppo がトラッシュの父の役で登場、派手に暴れるが、鎮圧部隊の火炎に包まれてしまう。

作品自体は銃撃戦や、爆破など VFX を活用した Sequences が増え、前作よりアクション志向が強い。初回作から続けて見ると、きちんと前・後編の繋がりが感じられる。これぞ傑作を証明する連作だと断言!Castellari 督も前作同様、通信員役でちょっと登場。

Il giustiziere della strada

Il giustiziere della strada

詳細は個別レビューで。本作は、西部劇風 Post Atomico の世界が構築されており、物語のテンポ、シナリオともに素晴らしい。緊迫感溢れるアクションと、それを完璧に表現するカメラワーク。魅力ある登場人物達と感動的な幕切れ。

Venantino Venantini の息子である Luca Venantini がトミー役を好演。ヒロインである Trash と主人公 Alien の微妙な関係も面白い。監督が監督ゆえ、西部劇ファンにも絶対にお勧めの一本。Carnimeo 作品はやはり絶品!

2019 - Dopo la caduta di New York

2019 – Dopo la caduta di New York

出演の Michael Sopkiw は抜群に格好よく、アンナ・カナキスは相変わらずセクシー。Spaghetti Western, Post Atomco 作品の常連であり『ビッグエイプ』役でゲスト出演する George Eastman も際立った個性を見せる。

影の主役は西部劇や刑事映画などで長くスタントマン、端役をこなしてきた Romano Puppo (変名の Roman Geer でクレジット)。今回は主人公をサポートするメンバーの一人『ラチェット』として大きく活躍し、戦闘の際には、鉄の分銅を手首からすべり出させ、敵の首へと投げつける。これで一気に相手を絞殺!物語結末まで深く関わる重要な役であるのも嬉しい。Hal Yamanouchi も鼠を主食とする放射能汚染者たちの棟梁として登場する。

Endgame - Bronx lotta finale

Endgame – Bronx lotta finale

  • 対訳:エンドゲーム 最後の日
  • 米国 DVD:Endgame
  • 日本 VHS:核戦士シャノン
  • 監督・脚本:Joe D’Amato
  • 音楽:Carlo Maria Cordio
  • 主演:Al Cliver
  • 女優:Laura Gemser
  • 注目:George Eastman

いわば「ダマート・ファミリー」による Post Atomico への答え。魅力的なキャストにそれを充分に引き出した人物設定。物語もダイナミック、展開もスピーディーで冒頭から結末まで無駄がない傑作。ジョー・ダマートはかつて西部劇のカメラマンをしていたので、アクションシーンの演出にも説得力がある。

人物の衣装、音楽も洗練されており、主人公『シャノン』を演ずる Al Cliver が非常に主人公然とした渋い演技をみせている。同様にシャノンのライバル『カルナック』の George Eastman も絶妙、さすがに監督が長年付き合ってきたキャスト達を選んでいるのでツボを得ている。Hal Yamanouchi も『ニンジャ』役で登場、凄絶なカミカゼアッタックでインパクトを残した。エンディングは絶品、往年のファンには堪らない対決シーンで幕を閉じる。

Rush

Rush

  • 対訳:ラッシュ
  • 豪州 VHS:Blood Rush
  • 日本 VHS:ラッシュ 地獄からの脱出
  • 監督:Tonino Ricci
  • 脚本:Tito Carpi
  • 音楽:Francesco De Masi
  • 主演:Bruno Minniti
  • 女優:Laura Trotter

残念ながら Post Atomico 唯一の駄作であろう。出演の Luigi Mezzanotte (Bruno Minniti) のなかなか魅力的な演技と、Gordon Mitchell の際立った存在感だけが救い。開始5分以降は、動きのないシーンを垂れ流す。音楽は Francesco De Masi とあるが、オリジナルは一曲もなく、すべて過去の西部劇や刑事映画の名曲の流用。

監督の手抜きが如実に反映された Thor il conquistatore(邦題:怒りの戦士グレート・トア)と同時撮影のオマケ映画。Miami Golem 然り、年老いた Laura Trotter が主演女優を務める作品鑑賞は、時間の浪費になりがち。

しかしながら、僕にとって未知の監督、トニーノ・リッチは非常に気になる存在。最近、80s リッチ監督作品を数本見ました。Bermude: la fossa maledetta(邦題:人食いシャーク バミューダ魔の三角地帯の謎)や Bakterion(邦題:バイオ・モンスター)など…凄まじい。ここまで来るともう、リッチ監督のファンになった。

1984

L'ultimo guerriero

L’ultimo guerriero

強烈な色彩を放つ Post Atomico というジャンルにあって、とりわけ個性的で独特の間を持った傑作。実質的主人公が「悪」という Antihero の先駆的作品でもある。Harrison Muller Jr.(Nadia Cassini のお兄さん)が仇役『エラスムス』として出演、特殊改造バイクにまたがり日本刀を駆使し人間を狩る!その脅威に対抗すべく『アラン』が行う特訓シーンがまた格好良い。Action & Violence の詰まった逸品。

監督ローモロ・グエリエーリの本名は Romolo Girolami で、エンツォ・ジロラーミ監督の叔父にあたる。どこにでもいる盲目的アメリカ偏重の凡庸な人たちは、イタリア作品というだけで軽んずるが、映像作品に対する成熟した見解を持つファンなら「表面的ではない技量」を奥に見ることが可能だと思う。

I guerrieri dell'anno 2072

I guerrieri dell’anno 2072

西部劇で Tempo di massacro という傑作を残し、Giallo では3本すべてが傑作、そして Luca il contrabbandiere で Poliziesco(刑事映画)にも挑戦した「巨匠」による Post Atomico 作品。これまた秀逸で、すべての面でのクオリティが高い。ジャンルの顔的な役者もきちんと揃っており、僕のひいきであるフレッド・ウィリアムソン、そしてモヒカン刈りの Hal Yamanouchi も出演。敵役には、刑事映画でもお馴染みのクラウディオ・カッシネリや Giallo などで見かけるハワード・ロスがおり、なかなか豪華な顔合わせが実現している。

ストーリーも練りこまれ、アクションも満載、とりわけストロボフラッシュの中で格闘するシーンは強烈な印象を残した。劇伴は Riz Ortolani このジャンルのサウンドは貴重だ。巨匠の作品は Horror 以外にも注目すべきものが多い。

Rage - Fuoco incrociato

Rage – Fuoco incrociato

僕が知る限り、リッチ監督の最高傑作と呼べる。「90分を90分に感じさせるだけの動き」があり Ottaviano Dell’Acqua(オッタビアーノ・デラクア)が役を変え、4回も現れるビッグ・サプライズ。チプリアーニの曲は、すべて70年代の刑事映画などからのリテイクだが、主人公達が食人族に襲われ、レイジが救出する際の選曲は他の監督には真似の出来ないチョイス。舞台は当然、核戦争後の設定だが、ロケ地は Cinecittà 近郊。加工の一切無い美しい自然が見られ「汚染されても美しいものは美しい!」そんな主張が伝わってくる。

また、世界を救うアイテムのひとつが聖書で、表紙に Bible と大きな文字で書かれているのが親切。いわばジャンル唯一の癒し系。それにしても『ラッシュ』ときて『レイジ』とは…リッチ監督恐るべし。VHSの邦題の「救世主伝説」ってのも凄いが、その後 Uppercase で RAGE ときた…この販社 FUNAI かなり”リッチ”テイスト。

そして僕は「本作に Inspire された L.A. の若き音楽家が、自らのバンドを Rage against the machine と名付けた」という都市伝説を捏造した。これを鵜呑みにして DVD 化を促進してくれる販社が出てくることを願う。

1989

Il giustiziere del Bronx

Il giustiziere del Bronx

  • 対訳:ブロンクスの私刑執行人
  • 米国 DVD:Bronx Executioner
  • 日本 VHS:レプリコップ 未来刑事
  • 日本 DVD:未来警察サイボーグコップ
  • 監督・脚本:Vanio Amici
  • 音楽:Stelvio Cipriani
  • 主演:Gabriele Gori
  • 女優:Margit Evelyn Newton
  • 注目:Alex Vitale

L’ultimo guerriero から70%強のシーンを借用。リミックス映画であり、純粋な作品ではない。テレビ番組の急な欠番などの「穴埋め目的」で急造されたと思われるので、ジャンルから外しても構わないだろう。ブルーノ・マテイ監督の(僕にとって)絶対的最高傑作「ストライクコマンドー」で究極の仇役『ジャコーダ』を演じた Alex Vitale が出演、愛を追い続けるサイボーグ役なのでコアなファン(僕だけ)には感動的。

それにしても、投げやりなテレビ映画にも関わらず、きちんとしたパッケージが存在するあたりに我が国、日本の几帳面さを見る思い。しかし内容はジャケットから連想されるものとはまるで違う。こちらで不毛な努力をするより Il giustiziere della strada のジャケットに力を入れて欲しかった(レーベルは違うが)。

なお、邦題は「レプリコップ」と原題から改竄されているが、期せずして「レプリカ作品」である本作を見事に象徴している。おまけに、とんちんかんな販社が「未来警察サイボーグコップ」と更なる題名改竄をして DVD 化。もっと他にやるべきことがあるはず…題名は違うが中身は当然 VHS と同じなので、騙されて買わないように。日本の零細販社は消費者詐欺ばかり。

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