Heijastin

Le viol du vampire

Jean Rollin 流の神話。

科学と黒魔術の融合、新人類の Adam et Ève が現れる創生神話。Jean Rollin ほど世間に曲解されている監督はいない。作品の上辺にしか過ぎない Scandalous な面のみを取り上げ、その本質を見ようとする人々が少ないという事実は至極無念である。

Le viol du vampire

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  • Réalisation / Scénario / Producteur: Jean Rollin
  • Photographie
    Guy Leblond
    Antoine Harispe
  • Musique:
    Yvon Géraud
    Barney Wilen
    François Tusques
  • Distribution
    Bernard Letrou … Thomas
    Marquis Polho … Marc
    Catherine Devil … Brigitte
    Jacqueline Sieger … La reine des vampires
    Jean-Loup Philippe … Le docteur Samsky
    Jean Rollin … Un paysan
  • Anée / Durée: 1968 / 100 minutes
  • Production
    Sam Selsky
    Les films ABC

Tristan Corbière au cinéma

Jean Rollin
Jean Rollin

Rollin は映像学校在学中16歳の時、10分間の短編 Les amours jaunes(黄色い恋)を製作。詩人 Tristan Corbière (トリスタン・コルビエール/1845-75) が1873年に発表した詩集と同題名のこの短編は、30歳という短命で世を去った、異色の象徴派詩人 Corbière へ捧げられたものであった。

Corbière が文壇にデビューした19世紀後期は、象徴派3大詩人である Paul Verlaine, Arthur Rimbaud, Stéphane Mallarmé にばかり注目が集まり、リューマチにより一冊のみしか詩集を発表出来ぬまま 文壇を去らざるをえなかった不遇の Corbière は死後50年もの間、その才能に関心を寄せられることはなかったという。

Nouvelle Vague の波と共に France 映画界にデビューした "Jea Rollin" もまた Corbière の如く、Jean-Luc Godard, François Truffaut, Roger Vadim などの監督達の影に押しやられてしまっていた。Rollin の病は「吸血鬼」に対する偏愛であり、これがなければ他の監督達に肩を並べる知名度を持つ監督になっていたであろうと語る書籍は多い。

Corbière を始めて文壇に大きく取り上げた人物は、彼と同年代の、やはり孤高の詩人であった Comte de Lautréamont(ロートレアモン/1846-70)を熱狂的に崇拝した Surréalisme 運動の創始者 André Breton(アンドレ・ブルトン/1896-1966 )であった。そうした背景があってのものか、超現実主義の影響が強く残る世代の内に育った Rollin は自らの作品にも超現実を色濃く反映させた。

Musidora en Irma Vep
Musidora en Irma Vep

その象徴的塑像となったのが吸血鬼という幻想の存在である。事実 Breton 達、超現実主義者は「吸血鬼」映画を好んでいた。Breton にとって Fétiche(理想的女性)が Irma Vep(Vampire のアナグラム)の主演女優 Musidora であったという話もまた有名である。つまり、Rollin にとって吸血鬼を作品に登場させることは極めて自然なことであったはずなのだ。

だが、世間は Jean Rollin を異端とみなした。

初の自主製作による長編 Le viol du vampire では当時では余りに過激な吸血鬼による暴力シーン、性描写が用いられた為、映画館に上映の様子を見に行った Rollin は終止、客の野次を耳にし、Rollin を見つけた客からは危うく殴られるところであったという。

Les deux pièces

Monster Bis - Jean Rollin
Monster Bis – Jean Rollin

吸血鬼を病の一種「吸血病」とし、特異な存在となった人々の新たなる夜明けを描いたこの作品は、Rollin 流の神話、Adam et Ève の人類創世であり、翌年のプロデビュー作となった La vampire nue にて同主題をより確固たる形で描き上げた。

本作は各45分の二部構成から成り、第一部「吸血病の女性達」第二部「吸血鬼の女王」と題されている。Rollin は当初、本作を第一部だけの中篇として公開するつもりであった。しかし Producteur Sam Selsky(サム・セルスキー)に才能を認められ、急遽、長編として劇場公開が可能となったのだ。そこで、第二部が制作されたのである。つまり当初は第一部で完結していた作品だったのだ。

Rollin は、その当時を振り返り「90分に延長するなんて無理だと思ったよ。なにせ第一部で登場人物は全て死んでしまったからね。」と Fanzine "Monster Bis" Jean Rollin 号の Interview にて回想している。

結果的に、第二部抜きには語れない作品であり、Rollin ならではの「発想の自由と豊かさ」を証明するデビュー作となった。しかし、時代はまだ Rollin に追い付いていなかった。科学と黒魔術が同化した独自の世界観は、世の中にはまだ早すぎるのかも知れない。視聴者の成熟を待てば、やがて Rollin の「独創性」が正当に評価される日が来るであろう。映画界の Tristan Corbière "Jean Rollin" 異端児として片付けられて良いはずがない。

追記 2015-06-27

僕が所有している VHS は Paris 在住時に、件の Monster Bis の実店舗で購入した。N.M International という販社、要するに Monster Bis の主催者 N.G. Mount 氏の自主制作盤である。

国外流通もしていないと思われ、また在庫の現存も怪しい。貴重なアイテムではあるが… Blu-ray (Redemption Films) が一般流通する現在では、よほどのマニア以外は興味がないだろう。僕にとっては大事なコレクション。

VHS は未開封なのでビニール付き。作品自体はレンタル VHS のダビング版で既に見ている。これは Collection のため購入したのだ。もちろん PAL なので、日本では専用デッキでなければ再生出来ない。

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