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I cacciatori del cobra d’oro

密林に宿る Spaghetti Western の遺伝子!

西部劇の傑作を生み出した映画人たちが、満を持して密林に挑む。白蛇伝説ならぬ「黄金」蛇伝説は、蛇神の発祥の地であるインド圏を魅了。Indiana Jones を凌ぐヒットとなった。Maestro 作品で主演を務めた名優たちによる夢の競演、彼らこそ「ゴールデンコブラを追い求めし者達」なのだ。

I cacciatori del cobra d'oro

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制作陣は達人揃い!

脚本は Enzo G. Castellari とのコンビで傑作の数々を生み出し、また Giuliano Carnimeo の先鋭的な西部劇から Tedeum といった狂気の西部喜劇、そして Giallo まで幅広い才能を発揮する Tito Calpi である。撮影は西部劇や Poliziesco で知らぬ人はいない Sandro Mancori であり、劇伴は Carlo Savina が作曲。もはや「密林の Spaghetti Western」といった様相を呈する作品なのである。まさに当然、夢のある快作にしあがった。原題の直訳は「黄金コブラの狩人たち」である。

泣かす超豪華キャスト!

Maestro ファンには …E tu vivrai nel terrore! L’aldilà と Gatto nero でお馴染みの David Warbeck が主演。脇を固めるのはカリスマ John Steiner そして主演女優は Lo squartatore di New York の Almanta Suska (as Almanta Keller) が演じており一人二役をこなしている。

さらに、こう来たか!と思わせる Luciano Pigozzi 名前は知らずとも顔を見ればすぐ「あっ、またこの人出てる!」となる名脇役。Western, Poliziesco に欠かせないこの俳優も、かなり大きな役所。だがやはり悪役。老けてからはヒゲが多いので一瞬 Paul Smith に似ることもある。特に目の離れ方が前からにているな、と…

少尉、言ってくれ、大和(やまと)はどこだ?

こうした冒険もの且つ、ハッピー系ならやっぱり Antonio Margheriti 監督。いつ何時でもカニバル、べトコン、原住民のいずれかが現れる。今作ではゼロ戦とべトナム系原住民の共存する世界を築き上げた。そこに黒魔術も加わって、これぞジャングルの神秘といわんばかりの世界が広がっている。

ツボにはまった時の Antonio Margheriti は強い。作品は見所だらけ。冒頭 David Warbeck が「少尉、言ってくれ、大和(やまと)はどこだ?」という長いセリフを日本語で言うのだ。David Warbeck の日本語が聴けるのはこの映画だけ!Maestro マニアなら、これだけで既に見る価値ありだろう。

もうハリウッドを見てる場合じゃない!

I cacciatori del cobra d'oro - David Warbeck
I cacciatori del cobra d'oro - John Steiner

中盤は特に David Warbeck と John Steiner の絡みが最高。特にバーの中で変な竹の棒で踊るシーンが楽しい。あの時は本当に酔っていたのではないか。そして、原住民(狂信者達)も暴れまくる。だが、最大の見所はやはりエンディングの辺りだろう。

  1. Almanta Suska (ジュリー) が突然裏切る。
  2. Luciano Pigozzi は溶岩に叩き落とされる。
  3. 死んだと思われていた John Steiner は復活。
  4. 冒険後のエピローグとしての David Warbeck と Almanta Suska(エイプリル/原住民の女王)は結婚。

と畳み掛けて来る。こんなに上手くいっちゃっていいの?と思っていると…やはり生きていた黒魔術師!恐るべき予定調和である。それにしても、あの顔のアップで終わるのは怖い。しかも止め画。映画でこうやれば視聴者の思惑通りになる、として普通の監督が避ける展開を逆にこれでもかと盛り込むことで御都合主義を完全に超越した作品。もうハリウッドを見てる場合じゃない!

強引な余韻残し、脈絡の希薄な原住民の出現などのいわゆる「力技」の数々でこの世界に”引きずり込まれる様な”錯覚を持った人もいるかもしれない。でも、素直に入っていこう。こいつは本当に夢溢れる冒険映画だ。迷わずいけよ、いけばわかるさ。そこに「ザ・ゴールデンコブラ」がある限り。

余談だが、名優 David Warbeck は遺作となった1998年 Razor Blade Smile にて Horror Movie Man と呼ばれていた…そこにも巨匠 Lucio Fulci の影響力の大きさを感じ取れる。

Almanta Suska と Antonella Interlenghi は別人!

Beyond Terror
Beyond Terror: The Films of Lucio Fulci

明らかに顔が違うのにも関わらず、常に混同されているこの2人は全くの別人。一般のビデオなどの表記も誤っているので注意が必要だ。このザ・ゴールデンコブラのビデオ裏面にあるキャスト表記も同様に Almanta Suska を Antonella Interlenghi と表記している。当然間違いだ。

Antonella Interlenghi は Paura nella città dei morti viventi (地獄の門)の Emily 役。Almanta Suska は Lo squartatore di New York (ザ・リッパー)の Fay Majors 役を演じた女優。どの様にして混同が起ったのかは定かではないが、この誤解は日本のみならず世界的なもの。恐らく Lo squartatore di New York の輸出の際の表記ミスに端を発していると思われる。

自称フルチマニアという人達でさえ混同するこの2人。別人だということは専門的なルチオ・フルチ関連の書籍(僕は当然、持っています!)等でも確認出来るので、これを機に訂正するのが良いだろう。(ペドロ・マハチカラ 07.07.2000)

2015-06-25 追記

I cacciatori del cobra d’oro はインドのどこかの地域で Aadi Maanav Aur Sarprani の題にて、音声吹き替え版が公開されている。やはり、コブラを神獣として祀る地域においては、この作品は Indiana Jones を超える人気を誇るようだ。その高度な Spectacle 性からか、一部で完璧に「ハリウッド映画」と誤認されている辺りが…笑えない。白人が出てる = Hollywood という程度の認識なのか…

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Kazu Spara in 25 May 2017
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