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Il giustiziere della strada

これぞ Post Atomico Western 近未来西部劇!

西暦3000年、核汚染により荒廃した地上に現れた名も無き流れ者。無法の荒野を己の力のみで生き抜くこの男を、暴徒たちは畏怖を込めて Alien(異星人)と呼んだ… あの Giuliano Carnimeo が監督 Dardano Sacchetti 脚本という、強力な布陣による1983年の傑作、世紀末を描いた Post Atomico の範疇に入る作品である。

Il giustiziere della strada

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  • Regia: Giuliano Carnimeo
  • Soggetto
    Dardano Sacchetti
    Elisa Briganti
    José Truchado
  • Fotografia: Alejandro Ulloa
  • Musica: Detto Mariano
  • Produttore: Camillo Teti
  • Interpreti
    Robert Iannucci … Alien
    Alicia Moro … Trash
    Luciano Pigozzi … Papillon
    Eduardo Fajardo … Senator
    Fernando Bilbao … Crazy Bull
    Beryl Cunningham … Shadow
    Luca Venantini … Tommy
    Anna Orso … Linda
    Venantino Venantini … John
  • Anno / Durata: 1983 / 103 minuti
  • Produzione
    2T Produzione Film
    Globe Film
  • Titolo
    Inglese: The Exterminators of the Year 3000
    邦題:マッドライダー(なんじゃこれ)
    対訳:路上の正義執行人

路上の私刑執行人

第三次大戦後の西暦3000年、核により砂漠と化した地上を、必死に生き抜く生存者達。この世界で命の次にかけがえの無いものが水であった。環境を完全破壊された地球に、もはや雨は降ることは無く、作物を育むことがままならない。かつての石油のように、砂漠に水脈を掘り当てた者が、それを途方もない条件で取引し、残された人々はただ、搾取され続けるのだ。『エイリアン』と呼ばれる主人公 (Robert Jannuci) はその世界にあり、持つ者、持たざる者、どちらにも属さぬアウトサイダーだった。いかなるコミュニティにも属さず、強盗をし、己の力のみでこの過酷な環境を生き抜くこの男を、いつしか人は恐怖を込めて「異星人」と呼ぶようになった…

お気づきのように、この Alien は、西部劇における主人公の代表的雛形 Stranger(異邦人)の Sci-Fi 版だ。Mad Max の世界に出現した、西部の無頼漢。本作は、凡百の Mad Max followers とは一線を画す。なぜなら、そこには Spaghetti Western に顕著な実績を残す Carnimeo 監督らしい、独立不羈の Heroism, Dandyism という筋が、びしっ!と通っているからだ。

物語のテンポ、シナリオともに素晴らしく、緊迫感溢れるアクション、そして、それを完璧に表現するカメラワーク。魅力ある登場人物達と感動的な幕切れ。Carnimeo 監督が、先輩 Parolini 監督と同様に得意とする、各登場人物の「個性の描き出し」により、エイリアン、トラッシュ、トミー、クレイジー・ブルとそのボディガードの女、そしてパピヨンといった主要人物達が活き活きと活躍する。仮想空間を現実とする、まさに完璧な「映像世界」の構築が成されているのだ。とりわけ Venantino Venantini の息子である Luca Venantini が『トミー』役を好演、子供らしい腕白さを作品に加え、温かみあるシーンが幾つも生み出された。エイリアンに負けじと意地を張ったり、パピヨンとキャッチボールをしたり、どれも印象に良く残る良いシーン。過酷で冷たい世界が綿密に描写されているからこそ、とりわけ対照的に、子供の暖かさが引き立つのだ。なお、実際に実父が演じたトミーの父『ジョン』は、冒頭でブル達の野党チームに捕獲され、虐殺されてしまう…

Il giustiziere della strada - John
John
Il giustiziere della strada - Trash
Trash

また、ヒロインの『トラッシュ(日本字幕は常にトラッ”シ”と表記)』 (Alicia Moro) の美貌も作品の魅力。エイリアンとの微妙な関係や、トミーとの仲の良さも面白い。そして、パピヨンを西部劇の名脇役 Luciano Pigozzi が演じ、いい親父の面目躍如。この作品は「とにかく見るべし!」というのが素直な感想。有名な誰が出ているからとか、有名な監督がどうだとかで映画を見ない人なら、この作品の素晴らしさを分かってくれるはず。誰も見抜けずとも、僕たちにはわかる傑作がある。僕はこれからも、他人がではなく「自分が」気になる作品を見るぞ!

2015-06-25 追記

知る人ぞ知る名作であったが、手軽に DVD が入手出来るようになった2015年現在、作品の評価は更に高まっている模様。Detto Mariano による劇伴も高評価。米国では遂に Blu-ray も発売!1990: I guerrieri del Bronx, Fuga dal Bronx, I nuovi barbari と合わせて4点購入いたしました。

日本版 VHS について

日本では、本国イタリアでの公開の翌年、1984年03月日にヘラルド系列にて劇場公開されている。日本版パンフレットも現存しているなら入手したいもの。Canimeo 監督は Jules Harrison の変名で Credit されており、日本版 VHS の背表紙にも、当然ながら、この変名が記載されている。そのため、背面に記載された Cast 情報や掲載写真を注意深く観察しなければ、誰が監督なのかを判別し難い。Cinema Italiano, Eurocine 作品には、よくあることだ。

僕が日本版 VHS を入手したのは2000年の10月頃。当時における Web 上の映画作品情報は、不足どころか IMDb 以外には、ほぼ存在していなかった。信じられないだろうが Google が一般的ではなかった時代である。せめて US Title だけでもわかれば、当時でも IMDb から情報を得られる可能性が高かったのだが…原題の原型すら留めぬ「邦題」という改竄行為のおかげで、作品の題名すらわからない。

もちろん Smartphone など考えも及ばない時代。現在のように Book Off などで「それらしき」作品を発見したら、即座に端末で Amazon から情報を得る、といった行動は不可能。ともかく、疑わしき VHS は購入するしかない。そして作品を見て、初めて実態を把握するのだ。期せずして、贔屓の監督による作品を見ていることは、往々にしてあった。これは良いことではない。題名改竄は傲慢な作品冒涜であり、また消費者に対する日本販社の不当な情報操作だ。2015年現在は、この状況も改善されてきた。原題が英語ではなく、きちんと原語で Package に記載されている BD/DVD が大多数である。海外 = アメリカという盲目的な鎖国も終焉に近づきつつある。零細企業は変わらぬ体たらくだが…海の向こうへ「目を開けた」映画愛のある企業、担当者に感謝したい。

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