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Eugénie de Sade

Soledad Miranda 最後の映画出演作。

70年代後半からの Jesús Franco 監督は「草食系」だ。ひとつの作品に予算と時間を集中させることが稀になる。狩りに出る危険を冒すより、小作品を多産する安定した耕作を選ぶ。Hollywood に流され続けた。いつまでも Lina Romay と結婚しなかった。極めて日本人的と言える、その優柔不断の嚆矢が本作であろう。

Eugénie de Sade
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  • Réalisation / Scénario: Jesús Franco
  • Photographie: Manuel Merino
  • Musique: Bruno Nicolai
  • Producteur
    Marius Lesœur
    Karl Heinz Mannchen
  • Distribution
    Soledad Miranda … Eugénie Radeck de Franval
    Paul Muller … Albert Radeck de Franval
    Andrés Monales … Paul
    Greta Schmidt … Kitty
    Alice Arno … Le mannequin
    Jesús Franco … Attila Tanner
  • Anée / Durée: 1974 / 91 minutes
  • Production
    France: Prodif Ets.
    Liechtenstein

Jesús Franco 監督は自身の脚本作品でこそ輝く。

Jesús Franco
Jesús Franco

Jesús Franco 監督は、ほぼすべての Marquis de Sade 作品を読破したと語っており、故に数本の Sade 原作による作品を Homage として撮り上げたのであろう。

はっきり言ってこの映画化は失敗である。この Eugénie de Sade がしかし、評価される点は Sade 原作を謳っておきつつ「内容が原作と壱分の隙もなく噛み合っていない」という所である。

神 (Jesús) 流の原作 Arrange は時に原型すら留めてはいない。その自由に対する Franco 監督の姿勢は周知の通り Sade 精神に影響されたものであろう。

ただ、この Eugénie よりも監督自身の Original 作品のほうが遥かに Sade 精神、そして Leopold Ritter von Sacher Masoch の影響の強い部分が見える。

こと「革命」という視点からみれば、本作は Franco 監督を体現した作品ではない。詩的情感の強さ、反逆精神、荒唐無稽、そうした Franco 監督の中の Sade 精神も残念ながらない。いわば、似非芸術作品に仕上がってしまった。

誰かの名前はいらない

Bizarre Cinema! Jess Franco
Bizarre Sinema! Jess Franco

確かに Sade 原作と謳うことは Value である。だが Franco 監督はその不可価値無くして、素晴らしい芸術映画を何本も撮っているではないか。最も1973年以降は芸術と呼べるものは数少ないのだが…

本作は神映画としては硬い。自由度も Psychedelic 感も薄く、同年撮影 La comtesse noire の試作版といった趣がある。詩的情感の描き出しに苦しんだ結果が見え隠れし、なにか突き抜けられていない。

やはり、原作に敬意を表し過ぎ Franco 監督ならではの発想に自らで制限を設けてしまったからであろう。Sade を謳わなければそれなりなのかも知れないが、こと Marquis de Sade を謳った以上、半端は許されない。

なお La chute de la maison Usher(対訳:アッシャー家の崩壊/邦題:アッシャー家の大虐殺・怨霊伝説)は原作の冒涜にすら至れていない。アッシャー家ではなく映画と腹筋が崩壊する。あそこまで行くと逆に好きになるが。

Soledad の着替えの一瞬に価値を見出す

内容的には似非である本作だが Soledad Miranda ファンが狂喜出来得る作品であることも確か。「真赤な Vinyl の Bondage fashion での着替え」ここに、この作品の存在意義がある。それ以外を求めるのなら La comtesse noire のほうが遥かに良い。

ここまで言っても Hardcore な Franco Maniacs は、それでも見たくなる作品、見てそれで良しとする作品だろう。しかしながら、一つ理解してもらいたいのは Soledad Miranda が主演であるにも関わらず Rare な作品で終わっている、ということは、それなりの理由があるということ。Franco 監督は自身の脚本作品でこそ輝いていると思うのだ。

VHS en version française

僕は Paris 在住時にレンタルビデオ屋で借りた VHS で本作を見ている。Cover は公開当時のポスターを流用しており Soledad Miranda は Susan Korda の変名で記録されている。Soledad Miranda の口元にはホクロが書き加えられているが…このポスターが色気があって素晴らしい、かなり気に入っている。

完全に Porno 扱い!

Lina Romay de Jack l'ÉventreurLina Romay de Jack l’Éventreur

改めてこの Cover を見ると Sweet Home Video (SHV) という青少年向けではない雰囲気を漂わせる販社名が気になる。下部に記載されているのは、この作品の Genre である。Aventure Erotique そして、右隅に "DUR" とある。

英語にすれば Hard Erotic Adventure である。新たなる Genre である。要するに、完全なる Porno 扱いだ…

18禁なのは確かだが Dur とまで強調するほどではない。むしろ裸がちょっと出るくらい。当時の基準からしても、かなり穏便な方だ。原作が Sade ということで、販社が直感的に警告を付けたのだろう。Sade と書いてあれば当然 Hardcore を想像する。その部分でも、本作は肩透かし以外の何物でもない。

しかし、レンタルビデオ屋で普通に置いてあるところが凄いのだ。日本国と違い France のレンタルビデオ屋に Porno は置いていない。Porno があるのは、18歳未満入店不可の Sex shop だけ。一般店が Porno だらけの日本が異常。それだけに、この作品を嬉々として借りて行った、アジア人の僕は、さぞかしビデオ屋のおばちゃんに気に入られたことだろう。

ちなみに、僕が通っていたレンタルビデオ屋は Eurocine 系統作品のマニア夫婦が経営していた。幾つかの VHS はレンタル専用ではなく、同時に販売もしていた。しかし、販売可能商品はいずれも凄まじいプレミア価格であった。なんでも「貸せなくなるのだから、高くせざるを得ない」のだそうで…がめついのう。

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