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重振精武門

石天龍、截拳道を受け継ぐ武術家。

17歳にして中國特殊部隊の訓練助手を務め、人民解放軍と武装警察部隊の武術指導を担当。28歳には「中华截拳道研究会」翌年にはアクション俳優養成学校「天龙武术搏击学校」を設立。さらに北京体育大学の截拳道講師、北京武装警察部隊の訓練顧問に就任。その強さ、本物である。

重振精武門
Amazon 百度百科 香港影庫 HKMDB
  • 導演:鄒亞子
  • 動作設計:曹榮
  • 監製:吳家駒/染野行雄
  • 攝影:林清雄
  • 領銜主演
    石天龍 … 陳真
    楊麗青 … 阿英
    徐忠信 … 鈴木太郎
  • 出演
    午馬 … 虎将軍
    林威 … 公安局局長
  • 出品:嘉禾/四維影業
  • 日期:1988年04月11日
  • 片長:92分
  • 日本版
    復活 ドラゴン怒りの鉄拳
    Maxam 2002年11月22日 DVD
  • 英題:Return of Dragon

石天龍、截拳道を受け継ぐ武術家。

重振精武門
石天龍飾陳真

17歳の若さにして中国特殊部隊の訓練助手を務めた後、人民解放軍と武装警察部隊の武術指導を担当。28歳には「中华截拳道研究会」を、翌年にはアクション俳優養成学校「天龙武术搏击学校」を設立。さらに北京体育大学の截拳道講師、北京武装警察部隊の訓練顧問に就任。実戦のための武術を体得し、それを映像娯楽作品に持ち込む術も心得ている。その強さ、本物である。

《重振精武門》即ち、復活精武門。数多の Tribute 作品が存在する《精武門》を原典に置き「李小龍生誕60周年記念作品」と銘打って公開された。

主演の石天龍は中国河北省の出身、楊麗青は台湾嘉義市の出身。本作の音声は國語となっている。石天龍が演じるのは当然『陳真』だ。『陳真』は霍元甲を模した劇中人物だと言われており、本作では霍元甲の弟子という解釈が付与されている。

監督、鄒亞子の Blank は17年…

本作は1998年の作品でありながら、演出・脚本が信じられないほど単調かつ古臭い。僕の購入した日本版 DVD の画質も相当に悪く、要するに Copy 元の VHS が劣悪であり「本当にこの年代の作品なのか?」という疑問さえ浮かぶ。

深刻というより、むしろ「のんびり」とした空気を持つ作品世界においては、見せ場となる「怒り」の演出も取って付けた感が強い。先が見透かせる安易な物語展開も刺激に欠ける。総合的な出来栄えは目を瞑るしかない。それもそのはず、鄒亞子監督が映画を撮るのは1981年の《錢從哪裡來?》という作品以来。その Blank なんと17年…

それでも!それでもだ、二度、三度見て面白い。これは主演の石天龍の魅力がすべて。人格者であることを伺わせる佇まい、おおらかな表情。そして武術の腕前。喜劇的な動きも得意とするように感じる。俳優活動はもうしないのだろうか…勿体無い。

イヤー♪ホーイ♪

音声は吹き替えであり、石天龍のド迫力武術との Gap は壮絶を極める。李小龍の模倣において重要な「怪鳥音」は、腹式ではない喉声のふんわりとした「イヤー♪ホーイ♪」の掛け声。この一点張りである。

雑魚を蹴散らす時も「ホーイ♪」用心棒との鬼気迫る一騎打ちでも「ホーイ♪」終盤は用心棒との激闘の連続、台詞がほとんどないため「イヤー♪ホーイ♪」が延々と続く。耳から離れない。

それでいて、愛妻の死の元凶である売国奴『ファイ』に恨みを晴らす、怒りの最高潮時は「無音」である。そして、後方倒立回転跳びなどの軽業を用いた Sequences では、思いっきりスタントマンの顔を画面に映す豪快さ。鄒亞子監督の演出には独特のこだわりを感じる。

邦題は「復活!ドラゴン 怒りの鉄拳」劇場公開もされている「李小龍生誕60周年記念作品」なのだ。しかし日本版 DVD の表紙と盤面には「70周年記念」という刻印が…ホーイ♪

アユン!楊麗青が出演

《皇家師姐Ⅳ 直擊證人》美國版DVD
袁和平《皇家師姐Ⅳ 直擊證人》1989

台湾きっての美女武打演員《皇家師姐》系列の主演としても著名な楊麗青が『陳真』の妻『阿英』(アユン)を演じる。苗可秀が演じた『麗兒』を代替する Heroine 役だ。原典と比しても美貌は勝るとも劣らず!

しかし『陳真』と結婚しているという点が異なり、さらに激しく異なるのは、この『阿英』の死が中盤の Plot Point となっていることである…原典にはない「復讐」という要素が加味されたのだ。

楊麗青のファンとしては、非情としか形容出来ず、おまけに極めて安易な展開。これでは彼女の魅力が存分には発揮されないではないか。だが…「阿英!」という石天龍の叫び!声は吹き替えなのだが、魂の奥底から絞り出すような叫びの表情が熱い!これは凡庸な場面を俳優の演技で名場面へと転換した好例である。

それにしても、楊麗青の《皇家師姐Ⅳ 直擊證人》のような超人的活躍が、わずかばかりでも見たかった。せめて用心棒のひとりくらいはブチのめして欲しかった…

鈴木太郎先生の弟、足袋を履く失態で「日本刀ギロチン刑」に処される

徐忠信 in Piedone a Hong Kong
左にいるのが徐忠信、右は恐らく咖喱

無名の若手時代に Piedone a Hong Kong において Bud Spencer と激闘を繰り広げた…というかヤクザ集団のひとりとして出演した、邵氏兄弟有限公司時代からのベテラン武打演員、徐忠信が演じるのは『鈴木次郎』先生。劇中において「鈴木太郎先生の弟」と紹介されるのだが、鈴木太郎先生が誰なのか?の説明はない。

調べたところ、原典《精武門》の日本陣営の元締めの名前が『鈴木寬』であった。誰も覚えていないであろう細かい設定を拾ってきた。名前は違っているが、まぁそういうことである。

鈴木先生はやはり和装である。つまり「足袋着用」であり『陳真』との一騎打ちにでは、予想に違わず「割れたガラスや瀬戸物を床に撒く」という定番の戦略によって動きを完封される。続いて戦う「擒拿」を得意とする禿頭自慢の用心棒もまた、定番の「油塗布」で対策され、驚きの内に絶命。

何を驚いているのか?彼らは映画をまったく見ていない。「足袋は危険」「油に注意」は功夫片の常識である。これでは日本刀によるギロチン刑の Sequence を二度繰り返されても文句は言えまい。

それに、あの力士もどき用心棒。

《同根生》海報
王龍威《同根生》1989

同じ動きだけを繰り返す型はなんなのか?四股を踏んでも、まるで脚が上がっていない。邪悪である。その他、やはり定番的な「美術品密輸」を企む英国の白人、その部下のインド人などが登場。敵にも Stereotype の美学が追求されている。午馬も出演しており、日本軍と手を組む『虎将軍』を演じる。嫌われ役ではあるが、喜劇的場面ばかりが用意されており、まるで悪人に見えない演出が良い。

また、1989年の王龍威導演、華仔主演の屈指の名作《同根生》で『張家威』を演じた林威が警察隊長役で出演。珍しく何事も起こさない、というか何もしない役。

『陳真』を演じられるのは真の武術家のみ

甄子丹は1995年、陳木勝導演の電視劇《精武門》(2016年春、やっとのことで日本版DVDを入手!)と2010年、劉偉強導演《夜行俠陳真》において『陳真』を演じている。《葉問》もまた『陳真』の Homage を大いに含む。甄子丹と石天龍の、夢の対決なんてのも想像もしてしまう。また、李連杰は多くの伝説の武術家を演じており、霍元甲と『陳真』の両者を演じている。

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