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武俠

人は他人を、そして自分を許すことが出来るのか?

過去からは逃れられない。しかし、過去に囚われれば現在が曇る。武術に生き、武術により大罪を背負った唐龍は、過去と決別すべく、自らの左腕を落とす。唸る獨臂刀、獨臂拳!対峙するのは元祖、天皇巨星!忘れられれば許すことが出来る…悔恨と宿命の果てに「武俠」という生き様が浮かぶ。

武俠

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  • 導演:陳可辛
  • 編劇:林愛華/陳嘉儀
  • 動作設計
    甄子丹
    嚴華
    谷垣健治
  • 監製:陳可辛/許月珍
  • 攝影
    黎耀輝
    包軒鳴
    楊振宇
  • 配樂
    陳光榮
    金培達
    Chatchai Pongprapaphan
  • 領銜主演
    甄子丹 … 劉金喜/唐龍
    金城武 … 徐百九
    湯唯 … 阿玉
  • 特別演出
    王羽 … 七十二地煞教主
    惠英紅 … 十三娘
  • 主演
    李小冉 … 徐百九前妻
    鄭偉 … 劉方正
    李家民 … 劉曉天
    尹鑄勝 … 徐坤
    秦焰 … 堂倌
    喻亢 … 閻東生
    谷垣健治 … 小個子
    姜武 … 探子
  • 出品
    我們製作
    星美影業
    鼎盛文化産業投資
    幸福蓝海影视文化集团
    雲南電影集團
  • 日期:2011年07月04日
  • 片長:115分
  • 日本版
    捜査官X(…いっぺん死んでこい!)
    Happinet 2012年11月02日 Blu-ray
  • English title: Wu xia

武術是和平的心

《武俠》記者招待會Press Conference 引用:Xuite 電影館

人は他人を、そして自分を許すことが出来るのか?李小冉が演じる徐百九の元妻の「忘れられれば、許すことが出来る。」という台詞は作品の主題を暗示している。

本作は三人の登場人物を柱とする。劉金喜・徐百九・阿玉、いずれの人物も「過去に脅かされながら」日々の穏やかさや、何気ない幸せを求め生きる人物たちだ。

過去からは逃れられない。しかし、過去に囚われれば現在が曇って見える。人々は「過ちを反省し現在に希望を持って強く生きる」そして、その人々を見る第三者は「現在を誠実に生きる人たちを素直に見つめる」のである。

それは「中國人の和平の願い」だ。なぜなら武術とは和平の心にある。60〜70年代の香港武俠片が掲げてきた主題、もう一度それを見つめ直す。原点に立ち返った人生哲学、繊細な心理描写、そして技術の粋を集めた脅威の武術。武術とは哲学である。この《武俠》は現代の經典だ。

劉金喜和阿玉

《武俠》湯唯和甄子丹引用:微觀《武俠》搜狐滾動

甄子丹の演じる主役、劉金喜は、忌まわしき過去と犯した大罪への「深い悔恨」を背負いながら、現在を「誠実に」生きる男。劉金喜は過去と決別するために、自らの左腕を落とした。武俠的世界との決別の意思である。

湯唯の演じる、劉金喜の妻、阿玉には、子供ともども亭主に捨てられた過去があり「孤独への恐怖」に憑き纏われている。しかし「唐龍」という過去を乗り越えた劉金喜の帰還によって、夫という存在への信頼を取り戻す。

湯唯は既に数多の賞を獲得している大物女優。僕は初めて見た女優だが、とにかく魅力的。すっかりファンになってしまった!恋愛の名作を手がけてきた陳可辛導演だけに、阿玉の内面描写は、時に切なく、時に痛々しく胸に刺さる。

徐百九

《武俠》金城武精通武術〈台北あにき〉 引用:on.cc 東方互動

台北あにきは、雲のような男である。深刻な作品内容とは真逆の天然さが、やはり人気の秘密だろう。あにきは、陳可辛作品に三作出演、二作において劇中で殺された…きつい。

金城武の演じる検察官、徐百九は、過去の犯罪において恩赦した少年に裏切られ「法と情」の狭間に落ち、もがき苦しみ続ける男である。写真だけ見ると、到底そうは思えないが、そうなのである。

法に偏執した徐百九もまた、劉金喜を許すことが出来た。即ち「法と情」の狭間から抜け出し、人間を信頼することが出来るようになったのだ。

都度出現する「法の遵守」を象徴するかのような、もう一人の徐百九が涙する場面が熱い。その最期は、決して不幸ではなかったはずだ。

あにきの歌手活動

1996年以降は專輯を発表していないので、歌手活動は休止かと思われたが…2005年《如果・愛》にて、插曲を幾つか歌った。主題曲は歌神。是非とも歌手活動を再開して欲しい。

宇宙最強的獨臂刀

《武俠》甄子丹與王羽引用:自由影音娛樂網:《武俠》獨臂刀甄子丹大戰一代〈獨臂刀王〉王羽

天皇巨星降臨!本作には《獨臂刀》《獨臂拳王》への Homage が盛り込まれている。そして、宇宙最強の男までもが、王羽のファンであったという事実…天皇巨星、偉大なり。

《獨臂刀》は、原作を小説に求めない香港独自の「武俠」である。これこそ香港武俠の Root なのだ。

甄子丹によって再現された「方剛」の劍術。「映画的」な獨臂刀を、武術家が「現実的に」解釈すると、どのような動きとなるのか?それは、まさに夢想の具現化だった。

己の素性を明かし「獨臂」となった唐龍の前に立ち塞がるのは、王羽自身!僕如きの想像なんかを遥かに超えた、驚愕と大興奮の展開。

唐龍の剣は、戦いの最中で刀身が折られ『方剛』の剣そのものとなる。さらに、剣を弾かれた唐龍は「獨臂拳」で戦う…鳥肌が立つ!

七十二地煞

《武俠》惠英紅惠英紅飾〈十三娘〉引用:on.cc 東方互動

七十二地煞とは道教の占星術において凶とされる星々。反政府勢力の暗示でもあるそうだ。水滸傳梁山泊でも知られる。本作における七十二地煞は、呪術集団の名称である。

王羽の演じる唐龍の父親、七十二地煞教主は全身を鋼と化す、金鐘罩を駆使する。これも、張徹作品への Homage と言って良いだろう。武術の演出に Reality を追求する甄子丹だが、往年の武俠片への憧憬も抱き続けているのだ。

さらに劉家良の弟子、惠英紅が唐龍の母親役で出演。雙匕首を用いた動作が凄まじい。年齢を重ねてなお美しく、その技の切れに衰えなし!積み重ねた栄光の歴史を感じさせる人選が素晴らしい。よくよく考えれば、王羽と小紅姐は、初共演ではないだろうか?

陳可辛

陳可辛和吳君如引用:吳君如、陳可辛同居18年為何不結婚? – 每日頭條

陳可辛導演は、21歳時(1983年または1984年)に、橙天嘉禾へ入社。すぐさま《快餐車》の製片助理に抜擢される。

威龍猛探》にて、早くも副導演を経験。《龍兄虎弟》では製片を担当。成龍の世界的ヒット作という超規模の現場で、壮絶に違いない実務経験を積んでいる。誰もが羨む濃密な期間と言えるが、同時に地獄も見たはず。

1989年、UFO電影公司へと移籍。星爺歌神主演の《咖喱辣椒》の監製を行う。翌年の《雙城故事》で初監督、大成功を収める。以降、經典と讃えられる愛情片を次々と公開、この分野の巨匠となった。

吳君如との関係

導演と吳君如との間には、娘がひとりいる。実質的には夫婦だが、結婚はしていない。每日頭條によると、同棲しているが、寝室も別々だという。別の家に住んでいる各々が「毎朝、出会う」ような感覚が良いのだそうだ。

監製・出品人・製片

投名狀
陳可辛《投名狀》2007

本作は、僕にとって初の陳可辛作品だった。先立って、導演が誰かも知らず《投名狀》日本初回限定版 Blu-ray を購入している。主演の顔合わせの珍しさに惹かれたのだが、陳可辛導演と知って、なおさら見るのが楽しみになった。

ここしばらくは、甄子丹主演作を追っており、先日は《十月圍城》をじっくり見た。陳可辛は、この名作の監製も行っていた。陳可辛作品なら、苦手な愛情片にも手を出す意義が大いにありそうだ。

俄然、陳可辛導演に興味が湧いたのだが、彼の略歴を追う上で、電影製作における幾つかの役職を知っておく必要があった。

監製:Producer

影片を企画、資金調達し、その収支を計算をする。当然、利益にならなければ失敗なので「導演のやりたいこと」が「金になるか否か」を判断する。導演と意見が衝突することは…もちろんあるので、導演自身が監製も兼任出来れば理想的。

影片が成功しても、創作活動に直接関わらない監製は、導演・俳優ほどの評価と名声を得ない。しかし、失敗すれば赤字責任を負う、地味な役職である。出品人が兼任すると、影片に甚大な影響力を及ぼす。

出品人:Presenter

出品人は、製作・宣伝など影片にかかる費用の出資者。主に、製作会社や広告主などである。財布を握っているわけで、強い権力を持つ。誰かに縛られない作品作りのため、導演、俳優、監製などが自ら出品人になることもある。その場合は、いわば大規模な「自主制作」Self-Produce である。

製片:Production Manager

製片は、撮影現場の進行管理・予算管理。現場では最重要と言える職務。製片人が優れていると、柔軟な撮影が可能となり、現場の空気も良くなる。それは影片の出来栄えに、そのまま反映される。この職務を経験していれば「予算と時間内でしっかりとした内容のある」影片が撮れる導演になれるはず。

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Kazu Spara in 25 May 2017
Kazu Spara