Heijastin

La banda del gobbo

反逆の人生の底に流れる、愛のメロディー。

社会から爪弾きにされた者の反逆を、血生臭いマフィアの世界を舞台に描き出した壮絶なる人間ドラマ。Tomas Milian 本人がすべての台詞を担当。人生感溢れる生々しい言葉と、演技を超えた等身大の人間が存在する。Polizieasco においても屈指の名作であり、この作品を見ると涙が止まらない。

Echec au gang: French VHS cover (Copy) from David Lavabre à Paris

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I personaggi

  • Vincenzo "Il Gobbo" Marazzi

    Il Gobbo:貧困と身体的障害への偏見の塊である社会を憎む。

    「ローマのせむし男」(Il Gobbo di Roma) の異名をとる札付きの悪、ヴィンチェンツォ。生来のせむしで、幼い時に両親を失くしてから、双子の弟モネッツァを独りで育ててきた。生き抜くため社会の裏側に潜み、強盗、誘拐、ドラッグ、銃火器の密輸など、あらゆる犯罪に手を染める。貧困と身体的障害に対する偏見の塊である社会を憎み、ブルジョワを嫌う。しかし、その心の底には確かな愛情がある。愛称はヴィンチェ。

  • Sergio "Er Monnezza" Marazzi

    Er Monnezza:デタラメな行動を繰り返す自由人。いつも青い作業着。

    自動車修理工場で適当に働く、根っからの自由人、モネッツァ。知識はないが、頭の切れはある。普段も青い作業着を着て歩き、ジョークと文句を連発、デタラメな行為を繰り返す。下街のゴロツキ連中からは人気があり、至る所に仲間を持つ親分。モネッツァにとっては、ブルジョワをからかう程度の詐欺や、無銭飲食など日常茶飯事だが逮捕歴はない。兄のヴィンチェンツォを誰よりも尊敬している。愛称はモネ。

  • Maria

    Maria:ヴィンチェの恋人である元娼婦。偏見のない心の美しさを持つ。

    客引きの場となっている高架下で、偶然ヴィンチェンツォと出会う娼婦マリーア。一切の偏見を持たぬ為、ヴィンチェンツォに気に入られ恋人同士となった。彼女の家を拠点にヴィンチェンツォとモネッツアは動く。ヴィンチェとマリーアの出会いのシーンで、ラジカセから Napoli violenta のエンドテーマ "A man before your time" が流れてくる。

僕の中で常に生き続ける登場人物たち…物語を自分なりの文章で書き出してみたので、興味のある方は是非ご覧になってください。この名作の魅力が少しでも伝われば嬉しく思います。

La storia

ローマのうらびれた自動車修理工場で働く青年モネッツアは相変わらず仕事仲間とふざけており、ボスの小言に怒鳴り返している。そして一台の高級車がやって来たのを確認すると「やい、今日はもう店終いだ、このすっとこどっこい!」などと暴言を吐く。しかし、その車から顔を覗かせたのは誰あろう、ローマから離れて久しい双子の兄、ヴィンチェンツォだった。「よぉ、あんまりにも脳みそが足りなくて親愛なる兄貴の顔まで忘れちまったか!」「…ヴィンチェ!おー!ヴィンチェ!」再会に小躍りする陽気なモネッツアとは対照的に、笑顔の中にも冷静さを保つヴィンチェンツォ。モネッツアの兄、ヴィンチェンツォは生来のせむしであり社会から冷遇され、いつしか「ローマのせむし男」の異名をとる札付きの悪党となっていた。だが、身寄りもなく父母のないモネッツアは自分を育ててくれた兄を誰よりも尊敬し頼りにしていていた。

ヴィンチェンツォはモネッツアを車で街に連れ出し久しぶりの再会を祝うが、その夜、とある高架下の空き地で偶然一人の娼婦と出会ったのでモネッツアをおいて、そのまま娼婦の家へと引き上げてしまった。娼婦マリーアは偏見のない女性であり、2人は恋に落ちた。翌朝、ヴィンチェンツォは娼婦の仕事へ戻ろうとするマリーアに言う。「今日から仕事はなしだ。俺がいれば、お前の欲しいものはなんでも手に入る。」マリーアとの幸福のためヴィンチェンツォは再び動き出す決意を固めたのだ。…ラジオからは、はかない人生をうたった切ないメロディーの歌が流れていた。

モネッツアは兄と終止離れたがらず、結局、家の前で中に入ることも出来ず兄の出てくる時を待っていた。そして外出してきたヴィンチェンツォはモネッツァに自分がこれから大手銀行襲撃を行うことを教え、警察の手が入った際には、アリバイ証明、もしくは自分がローマにはいないということを吹聴するよう指示する。そしてモネッツアのどこか抜けた性格からボロが出ることを予測し、嘘をつき切れなくなりそうな時はタバコを丸ごと一本飲み込めと付け足した。

ローマに集結した有力な4人のドンと手を組み、催涙弾を用いての大手銀行襲撃を決行したヴィンチェンツォだが、ドン連中はせむしのヴィンチェンツォを心良く思っておらず、極秘裏に協定を結び、銀行襲撃の混乱に乗じてヴィンチェンツォを仕抹した上で、4人での強奪金分配を画策していた。襲撃は発起人であるヴィンチェンツォの周到な手回しにより成功を収めかけたたものの、仲間の裏切りを悟ったヴィンチェンツォは警察、そして仲間による銃弾に追い詰められ、ボロボロになりながら下水道へと逃げ延びた。 数日の後、マリーアの家にヴィンチェンツォは心身共に傷つき果てた姿で帰ってきた。…その日も、ラジオからはあのメロディーが流れていた。

そして疲れの癒えたヴィンチェンツォの復讐が始まる。マリーアと各ドン達を一人ずつ暗殺し、強奪した金もまたヴィンチェンツォの下に全て集まったが、最後のひとりアルバネーゼ(アルバニア人という意味)の姿が見つからない。アルバネーゼはその男の本名ではなく、ただアルバニア人であるからそう渾名されているだけで手がかりもない。ただアルバニア人などそう数多くいるわけでもなく、ヴィンチェンツォはモネッツァにアルバネーゼを探し出すように指示をだした。しかし、しばらくしてモネッツァが連れて来たのは見たこともない、とぼけた作業員だった。「誰だこいつは!?」ヴィンチェンツォも訳がわからない。モネッツァ自身もなにが間違っているのかわかっておらず、激しく抗議した。「アルバネーゼを連れて来たんだ!こいつの名前はアルバネーゼ!」(アルバネーゼはイタリアでは一般的にある名前)ヴィンチェンツォは怒る気も失せて、モネッツァを車に乗せアルバネーゼ捜索に再度出発した。そして川沿いに潜んでいるのを発見すると頭を撃ちぬく。その死体をモネッツァに見せるとやっとモネッツァも理解できた。「あーアルバニア人を探してたのか、それなら早く言えよ。」

数日後、自動車修理工場のモネッツアの所に案の定、刑事が尋問にやって来た。そこで兄の言葉を思い出したモネッツアは、タバコを同僚から拝借すると一気に飲み込む。だが、言われたより多く二本も飲み込んだのが災いしてか途端に気分がおかしくなり、うわごとを口走り始めた為、一切の情報こそ漏らさなかったものの、警察どころか精神病院に収容されることとなってしまったのだ。

警察はモネッツァが演技している可能性があるとみて、院長を介して誘導訊問を行う。「せむし、と聞いて何を思い浮かべますか?」「…し…し…しけもく?」「シリトリをやっているのではありません。真面目に答えてください。それとも本当に正気じゃないのかも知れない…」院長はモネッツァが心配になってきた。「私が誰かわかりますか?」「…奥さんを愛人に寝取られた男。」(ヨーロッパでは医者は妻を愛人に寝取られた男の代名詞。イタリアでは cornuto)とうとう院長も激怒し、モネッツァを精神病患者と断定、収容所送りの処置としたが、警察はあくまでモネッツアを重要証拠人とみなし、病院内に精神病患者の偽装をさせた刑事を潜り込ませた。しかし、その正体にいち早く気付いたモネッツアは、逆にその刑事を利用し病院からの脱走に成功、ヴィンチェンツォの下に無事戻ってこれたのだった。

一段落ついたある晩、マリーアが上流社会人達の集う著名なクラブでヴィンチェンツォと踊ることが夢だと打ち明けた。その願いを快諾したヴィンチェンツォは戸惑うマリーアの手を引き、部下達と共にそこに向かう。

激しい嘲笑の中踊るヴィンチェンツォ。その姿がまた滑稽だと嘲りはより高まる。困惑するマリーアとは逆に、ヴィンチェンツォは勢いのまま客を一堂に介して、唐突に下らぬ小話を披露し始めた。客達はまたも割れんばかりに笑うのだが、オーナーは堪らずヴィンチェンツォを社会のクズだと糾弾した。その時、初めてヴィンチェンツォは怒りを表した。自分を社会からはみださせたのは貴様らだ。あのラジオの歌の詩を引用し、痛烈な社会批判をぶちまけるとヴィンチェンツォは部下にマシンガンを持ってこさせ、クラブを一瞬にして地獄と化したのだった。

事件をマリーアに詫びた後、ヴィンチェンツォは警察から逃れる為しばらくローマを離れる旨を伝え、同様の内容を記した手紙を入れた封筒をモネッツアに渡すよう頼むと車で旅立って行く。三度追われる立場となったヴィンチェンツォだが、常に逆境を生き抜いてきた男にとって警察など怖るるに足りぬ存在であった。

モネッツアはその頃、相も変わらず廃車工場で兄の来るのを心待ちに仕事に励んでいた。その兄が逃亡中だとは知る由もなく、休憩中に昼飯を食べながらふと回したラジオから流れる歌に聞き惚れていた…その歌がヴィンチェンツォの愛するあの歌であるということも、知る由もなく。

ヴィンチェンツォもまた車でラジオを聞いていた。バックミラーにはやはり警察の車が数台映っている。ヴィンチェンツォはラジオから流れるいつもの歌を口ずさみながらスピードをあげた。

高架陸橋に差し掛かった時だった。ヴィンチェンツォの車の目前を一匹の野良猫が走り去ろうとしている。咄嗟にハンドルを切ったヴィンチェンツォはガードレールを突き抜け車ごと高架下の河中へと沈んでいった…

モネッツアが不器用にラジオにあわせ歌を口ずさんでいるとマリーアがヴィンチェンツォに託された封筒を届けにやって来た。 早速手紙を開いたモネッツアの目に大粒の涙が浮かぶ。その手紙には今まで一度も見たことのなかった兄からのモネッツアへの感謝と、愛情溢れる本心からの言葉が綴られていた。蔑まれてきたヴィンチェンツォにとっても快活なモネッツアの存在が常に大きな励みとなっていたのだ。そして封筒の奥にはヴィンチェンツォが命の危険をおかして手に入れた財産の八割方がモネッツアにと同封されていた。

自分のことについて何か書いてあったかと尋ねるマリーアに「愛している」と書いてあったと嘘をつき、マリーアに半分の金を渡すとモネッツアは、兄、ヴィンチェンツォは今どこにいるのだろうかと想いを巡らせるのだった。

Il commentario

Umberto Lenzi 監督 + Tomas Milian 主演 + Federico Zanni 撮影 + Luciano Martino 製作、による作品は Milano odia: la polizia non può sparare (1974), Il giustiziere sfida la città (1975), Roma a mano armata (1976) と続いており、ファミリーとなった製作班のチームワークの素晴らしさが作品の完成度に反映されている。

"Il Gobbo" というキャラクターは Roma a mano armata にて登場し Poliziesco の代名詞 "The man before your time" こと Maurizio Merli 演じる Tanzi 刑事と死闘を繰り広げた。Tanzi の逆襲を受け、更なる怨念を募らせる姿、その最期、余りにも惨めに道端に転がる姿が脳裏にこびりつく。

本作は "Il Gobbo" の Another story であり Roma a mano armata の Spin-off 作品とも捉えられる。そこに Tomas Milian の代表的キャラクター Monnezza を絡めて来たのだから、まさに Umberto Lenzi + Tomas Milian 傑作群の集大成である。Tomas Milian はこの時期 Nico Giraldi シリーズも持っており、各キャラクターの演じ分けには、かなり気を使ったであろう。劇伴は、もちろん Poliziesco OST の第一人者 Franco Micalizzi による。

仏版 VHS について

掲載している VHS cover はフランス版です。タイトルは "Échec au gang" 訳すと「ギャング流チェス」です。Paris の親友 David Lavabre からもらったダビングと Cover のカラーコピーで、当時の思い出が詰まった宝物。また、僕が見た初の Poliziesco であり、同時に Tomas Milian を知る事となった記念碑的な映画でもあります。France では幾つかの Poliziesco 作品がケーブル放送や地上波放送、そしてソフト化されており、マニアでなくとも気づかぬ内に名作を目にしていたりします。アジア圏の僕らが香港電影の一端に馴染んでいるように 80年代までの Euro 圏内において Cinema italiano は日常的なものでした。

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