Heijastin

獨臂刀王

俗世に惑うことなく、愛ただ一筋に生きる。

敵も味方も別け隔てなく撒き散らされる膨大な死。その極限において無敵を誇る獨臂刀。「刀王」の名の下に繰り広げられる殺戮劇、しかし儚き世において名誉など幻に過ぎぬのだ。確かなものは妻の愛。愛だけが方剛を生かす。

獨臂刀王

Amazon 维基百科 百度百科 香港影庫 HKMDB
  • 導演/編劇:張徹
  • 動作設計:劉家良/唐佳
  • 監製:邵仁枚
  • 攝影:龔幕鐸
  • 配樂:王福齡
  • 領銜主演
    王羽 … 方剛
    焦姣 … 小蠻
  • 主演
    田豐 … 無相王 凌虛
    谷峰 … 大力王 焦風
    董力 … 毒龍王 段朔
    唐佳 … 轉輪王 宋文
    袁祥仁 … 天遁王 鄧飛
    劉家榮 … 地藏王 石虎
    劉家良 … 通臂王 元謙
    林嘉 … 千手王 花娘子
    狄龍
    姜大衛
    午馬
    袁和平
    鹿村泰祥
  • 出品:邵氏兄弟
  • 日期:1969年02月28日
  • 片長:101分
  • 日本版
    続・片腕必殺剣
    Paramount Japan 2013年09月13日 Blu-ray
  • English title: Return of the One-Armed Swordsman

これは誰もが光り輝く、美しい夢物語などではない

不朽の名作《獨臂刀》から2年後に撮影された、この正統続編には前作をも凌ぐ恍惚的興奮がある。敵、味方を問わず膨大な数の「死」が撒き散らされ、その極限において無敵を誇る獨臂刀。

愛妻『小蠻』から託された奥義書を元に『方剛』が独自に編み出した「獨臂刀」の奥義は神業の域に達する。その反面、一般的な英雄譚であれば優遇されておかしくない若き剣士たちは、すべからく無慈悲に惨殺される。そこには栄光などなく、ただ死あるのみ。

「刀王」という名誉を欲した者たちは、己が力を誇示すべく、名だたる武術家を殺戮する。武術に生き、仁義を重んじた者たちも、やがて「復讐」の炎に焼かれ、殺戮者と変わらぬ身に堕落する。地位や名誉は人を狂わせる。

「獨臂刀王」の称号を刻んだ金の首飾りを引きちぎり、踏みつけて去った方剛。この男は俗世に惑わされることなく、小蠻との愛ただ一筋に生きる。無差別に振りかかる死と、英雄の対比。張徹監督の冷酷なまでの「戦における現実」の描写が、方剛の「神性」を引き立てるのだ。

八大刀王との死闘

林嘉林嘉 – 引用:豆瓣

奥深き主題を内包しながらも、本作には抜群の娯楽性がある。各々が個性的な秘技を用いる『八大刀王』は一度見たら忘れられない。前作では、田豐は方剛の師である『齊如風』を演じていたが、今回は最大の敵『無相王』を演じる。やはり齊如風の体たらくは、悪に等しかったのではないか…

さらに数々の邵氏兄弟嘉禾作品で伝説を築いた、劉家良劉家榮ともに八大刀王のひとりとして前作より継続参加。劉兄弟は、あの黃飛鴻の弟子筋にあたる正当後継者なのである!劉家良は張徹作品の動作設計をこなし導演としての経験を積んでいったのだ。

武術をも超える恐るべき女性の魔力

林嘉が演じる戦慄の美女、千手王。男の美学を謳いながら、その裏で女性の強さと怖さが、じわりと染みてくるのが張徹監督作の特徴だ。男の人生を狂わせる悪女たち。いかな達人であろうと、ひとりの女性によって大切なものを失うという結末を迎える。時代を作る男の陰に美女あり、という史実がある。げに恐るべきは女性かな!

八大刀王

霸王寨大寨主「無相王」凌虛(田豐)
八大刀王の頂点に君臨する男。その剣を見て生き残った者はおらず「無相」としか例え様がない謎多き存在。方剛と互角に渡り合うほどの使い手。
霸王寨二寨主「大力王」焦風(谷峰)
その名の通りの怪力で、強靭な肉体を持つが、それ以外は不明である。谷峰が怪力という設定なので致し方なし。
霸王寨三寨主「毒龍王」段朔(董力)
全身から毒煙を撒き散らし、相手の身体の自由と視界を奪った上で、剣先から噴出する「弾丸」で止めを刺す。道具による Low-Risk な遠距離戦術を好む狡猾な男。方剛の「捌き」に注目!
霸王寨四寨主「轉輪王」宋文(唐佳)
円周に刃のついた円盤型武器を両手に備える。円盤は盾としても機能し、また投擲が可能。同じ武器を携えた多数の直属の部下を率いて集団戦を行う。残虐性が高く、嫌悪感を煽る男。なかなかの強敵である。
霸王寨五寨主「天遁王」鄧飛(袁祥仁)
空からの攻撃を得意とする。轉輪王と同様に、直属の部下を率いて集団戦を仕掛けてくる。集団に埋もれてしまい、実力の程は定かではない男。技よりも統率力に秀でるのかも知れない。喜劇を得意とする袁祥仁が演じているだけに、やや脱力系なのも合点がいく。
霸王寨六寨主「地藏王」石虎(劉家榮)
いわゆる土遁の術を用いる。方剛の対抗策が見もの。60年代の劉兄弟は動作設計と替身主体。役者としての出演は概ね、手下役などに留まる。劉家榮得意の「壮絶な死に様」の演技が磨かれた時期である。
霸王寨七寨主「通臂王」元謙(劉家良)
鎖鎌の使い手であり、最初に方剛と対決する男。その決着は見事!死闘の幕開けには、達人が適役。今後の壮絶な展開を期待させる見事な演出である。
霸王寨八寨主「千手王」花娘子(林嘉)
八大刀王で最も危険な、紅一点の暗器使い。男心を惑わせる美女だが、その本性は残忍でドス黒い。各剣術流派の跡継ぎたちを誘惑し、満面の笑みを浮かべながら、未来ある若者の命を次々と奪い去った。演じる林嘉は《金燕子》にて『銀鴨』に愛を寄せる遊女役で出演している趙心妍と容姿が酷似している。
Tags