Heijastin

靈氣逼人

開心鬼が怨霊にふっ飛ばされる!

めちゃくちゃ可愛い23歳時の葉倩文が主演!《淘気 鬼気 笑気》と謳った霊異喜劇。怖いばかりでなく、美女を巡って野郎二人が大人気なく奔走する Romantic Comedy の要素も満載。奇想天外な《開心鬼》黃百鳴が、腹から笑わせてくれる!劇伴を含め、小洒落た雰囲気があり、夏の夜にぴったりな見応えのある傑作。それにしても僕ら Asian には、恨みつらみの「怨霊」ってのが最もゾッと来る…

靈氣逼人
Amazon IMDb 百度百科 香港影庫 HKMDB
  • 導演:于仁泰
  • 編劇:李居明
  • 監製:泰迪羅賓
  • 攝影:Ricardo Coll
  • 配樂:鍾定一
  • 領銜主演
    葉倩文 … Angie
    黃百鳴 … Hansom Wong
    周潤發 … 發仔
  • 客串:麥潔文
  • 主演
    羅烈 … Chan
    黃錦燊 … Robert
    何家勁
  • 出品:新藝城
  • 日期:1984年09月30日
  • 片長:91分
  • 日本版
    チョウ・ユンファの悪霊退治 デビル・バスターズ
    Pioneer LDC 2001年07月10日 DVD
  • English title: The Occupant

淘気・鬼気・笑気

于仁泰
于仁泰

夏と言えばお化け!お化けと言えば香港電影のお家芸「恐怖喜劇」である。僕はいわゆる Horror 映画を極力避けるが、香港電影だけは別。恐怖と喜劇が混ざっているからだ。その上、主役が空前の美女とくれば、もう絶対見たい!のである。

なんと主役は葉倩文、脇を固めるのが黃百鳴周潤發である!現在となっては不可能と言える、超大物たちの夢の共演…これは凄い!

怪談だけに夏の撮影、葉倩文が肌も露わな Tank top 姿で登場し、色気も抜群。美女を巡り、野郎二人が大人気なく奔走する Romatic Comedy 要素も満載。米大卒で、米国文化に通じる、于仁泰導演だけに、誰もが笑える The Exorcist などの Parody も盛り込まれている。実に見応えのある傑作だ。是非とも夏の間に楽しんでもらいたい!

最高に楽しく、また恐怖を感じることの出来た作品であった…そう、腹から笑えるだけでなく、背筋が凍る場面も多数。やっぱり僕ら Asian には、恨みつらみの「怨霊」ってのが最もゾッと来る。

霊異喜劇

劇伴や題字の装飾書体も洒落ている。DVD 付録の香港原版 Trailer では作品を《霊異喜劇》と銘打ち《淘気 鬼気 笑気》と謳っている。はちゃめちゃで恐怖と喜劇が満載、といった雰囲気だろうか。

各登場人物にも象徴的な肩書がある。黃百鳴が演じる Hansom は、自身の代名詞である《開心鬼》がそのまま利用されている。幸せを呼ぶ妖怪、これは同年7月(靈氣逼人の2ヶ月前に公開)に黃百鳴が主演・脚本・製作した影片の題名。開心鬼は人気を呼び、系列作品化された。黃百鳴=開心鬼は常識である。

葉倩文は《淘気鬼》おてんば娘。そしてタンクトップ姿の葉倩文に《大胆包天 惹鬼上身》の説明。霊魂を呼び寄せるほど大胆な上半身?最後に、周潤發は《痴情鬼》ナンパ野郎である…この三名のチームワークが実に良い!

鬼王・于仁泰

《白髮魔女傳》海報
于仁泰《白髮魔女傳》1993

于仁泰導演は、徐克らと並び、香港新浪潮 (Hong Kong New Wave) の雄として語られる。影圏に新風を巻き起こしたのだ。さらに、彼は特別に「鬼王」という異名で呼ばれることがある。

つまり、幽霊話の第一人者。なんといっても梁羽生の武侠小説を林青霞主演で映像化した《白髮魔女傳》がある。

周潤發主演作では、本年の前年に《巡城馬》がある。僕はこの作品は未見。日本版 DVD も発売されており、比較的容易に入手可能。

導演は、南カリフォルニア大学卒で、米国文化にも明るい。2006年に、李連杰主演、周杰倫主題歌の《霍元甲》で世界的に有名になった。中國人の文化を、他文化圏にもわかりやすい形で伝えることが出来る導演だ。

《霍元甲》は世界的なヒット作だけに DVD, Blu-ray, Streaming など販売形態が豊富。米国版であれば媒体を限定されることなく、手軽に見ることが出来る。

1986年には Brandon Lee 主演作として有名な《龍在江湖》がある…ご覧になった方は良くわかると思うが、華仔主演、王晶導演の同名他作《龍在江湖》ともども黒歴史とすべきだろう。龍在江湖の名は鬼門。

Hansom Wong

開心鬼
高志森《開心鬼》1984

葉倩文の演じる Angie をものにすべく、あの手この手で強引に迫るのは、若き日の黃百鳴が演じる爆笑野郎 Hansom Wong この青年が抜群に面白い!それでいて痩身長駆で、見ようによっては名前通りの "Handsome" なのである。

物語は Hansom が中年夫婦に中古車(実は事故車)を売りつける場面から始まる。出てきた瞬間に「こいつはやばい!」という戦慄を走らせる、あの表情、仕草、髪型。キャラクター名からして笑いに走っているが、もう何から何まで笑わせてくれるのだ。

Angie の部屋に居座るため、荒唐無稽な言い訳を幾つも考え出す、その発想力と「諦めない心」は尊敬に値する!これは Comeedia Sexy の一種と言えるだろう。周潤發が演じる Valentino との小競り合いも笑えるし、とても楽しい気分にしてくれるのだ。

開心鬼・黃百鳴

黃百鳴は現在、自ら起業した東方娛樂の社長であり、香港実業界の大物。また、月餅で有名なお菓子屋さん《譽品世家》(Facebook 公式ページあり、通販可能)の経営者でもある。多才極まる大物なのだ。

黃百鳴は、これまでに製作総指揮、プロデューサー、さらには脚本家として膨大な数の電影作品に関わっており、俳優としての出演作も50本を優に超える。

80s において、日本の「少女隊」が香港で大人気となったことから、類似した形態のアイドルグループ《開心少女組》をプロデュース。僕の大好きな袁潔瑩を筆頭に、歌神の奥様である羅美薇などを輩出した。

黃百鳴が清朝時代の役人の格好をした殭屍に扮する電影《開心鬼》シリーズには《開心少女組》が出演、主題歌も歌い、これまた大人気となった。シリーズ第三作目までは日本版 DVD も発売されており、僕はすべて所持、もちろん大好きだ。Amazon で《開心少女組》の MP3 も幾つか購入している。

台湾の超大物歌手「葉蒨文」23歳時の主演作

愛嬌があって、スタイル抜群で、めちゃくちゃ可愛い葉蒨文は数多の受賞歴を持つ、台湾の超大物歌手。台湾とカナダ、二つの国籍を持つ。本作の劇伴は、彼女の歌の作曲を手がけた鍾定一によるもの。様々な繋がりが見えてくる。

葉蒨文は、香港において1990〜1993年の間に連続四度の「勁歌金曲頒獎典禮」受賞という快挙を成し遂げ、1996年に林子祥と結婚。その後も歌手として数々の賞を獲得、2012年には生まれ故郷の台湾で「第49屆金馬獎」を受賞している。

《大丈夫日記》日版DVD
楚原《大丈夫日記》1988

台北市に生まれ、4歳でカナダに移住、1980年の19歳時に帰省して歌手兼女優となる…《靈氣逼人》で彼女が演じる Angie は、カナダ帰りという設定だが、これは彼女自身の経歴に基づいていたのだ。香港電影には1980年の芸能活動開始直後から出演。1984年に香港に拠点を移し、この年には

1984/01/26 公開:鐵板燒
日本版 Blu-ray:新 Mr.Boo! 鉄板焼
1984/09/30 公開:靈氣逼人
日本版DVD:チョウ・ユンファの悪霊退治 デビル・バスターズ
1984/10/11 公開:上海之夜
日本版DVD:上海ブルース
1984/10/26 公開:少女日記
日本未公開

の四作に連続出演、圧倒的な人気による「過密極まる」スケジュールが見て取れる。《靈氣逼人》は彼女が23歳時の主演作であり、素晴らしい演技を見せてくれる。大学で「迷信」を主題とした研究論文を発表するため、取材に香港へ訪れた女子大生 Angie が恐怖に遭遇する。良い所を見せようと野郎どもが必死になるのも当然、とにかく可愛い!撮影現場の雰囲気も実に良かったであろう。

彼女の女優活動期は1980~1991年の11年間で、出演作は26本。Filmography を眺めている間、とりわけ気になった、1988年《大丈夫日記》の日本版 DVD を購入した。こちらも周潤發との共演作、そして王祖賢との"共艶"が非常に楽しみ。「葉蒨文が演じる、おっちょこちょいの女の子が活躍する恋愛コメディ」といった想像をしたのだが、中国語の「大丈夫」とは「立派な亭主」の意味。完璧な周潤發主演作であろう。

1985年には《威龍猛探》にも出演。この作品では女優陣の活躍が皆無に等しいが、主演女優として「無綫四美」のひとり、李賽鳳も出演している。

周潤發には目立つ活躍がない

周潤發は、領銜主演に登記されてはいるが、喜劇要素のない純粋な二枚目を演じている。幽霊事件解決の鍵を握る人物ではあるのだが…潤發の演じる Valentino は、ヒロインの Angie のために「真剣に」事件解決を図る。しかし、要所要所で、黃百鳴が演じる Hansom が、ことごとく「いい加減さ」を挟むのである。とにかく黃百鳴が強烈!

Hansom がいなければ《靈氣逼人》は王道的な恐怖片だ。しかし、怪談だけを軸とすれば作品は古典の粋に収まってしまう。やはり「イタコ」と真正面から渡り合える Hansom のような人物が必要不可欠なのだ。恐怖喜劇という二律背反する要素を持った「独創的」なジャンルを鑑みると…第一主演は、やはり黃百鳴である!

Tags
Kazu Spara in 25 May 2017
Kazu Spara