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大內密探零零發

恭喜發財・零零發・發明!

李若彤の妖しさ、劉以達の怪しさ、名前そのまま役名の劉嘉玲、ひたすらしばかれる袁信義。天外飛仙は Greys だった!前作《凌凌漆》の祖先かもしれない?密偵『靈靈發』が国家転覆を狙う妖術使い『無双王』一族と対決!

《大內密探零零發》海報

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劉以達とは何者なのか?

達明一派引用:神化音樂人 – 蘋果日報

常に紛うことなき奇人を演じる劉以達。この人、実は「かなり前衛的な」Rock ギタリスト・歌手であり、作曲家なのである。本作の劇伴も彼によるもの。歌曲では例えば、王菲の《流星》が彼の作曲。コンビ「達明一派」の代表曲《石頭記》を陳慧琳が Cover している。知らずに彼の曲を聴いている人は多いはず。

調べてみると、なんと出演作は92本!僕はその内の12本しか見ていないが《老夫子2001》での、誤った美学を持った殺し屋役なんか印象深い。星爺作品では《食神》《千王之王2000》に登場。

役者としては、英皇電影の影片に出演が多いので、名前は知らずとも、劉以達の顔は広く知られていると思う。僕は、阿Sa の大ファンなので彼女の出演作を追っかけているが《見習黑玫瑰》《新警察故事》《大無謂》《情癲大聖》と必ず、劉以達が付いて来る!《情癲大聖》では「顔面だけ」出演。なお、この偉大なる歌手は2008年にキリスト教徒になったそうだ…そんなことまで話題になるほどの大物なのである。

李若彤の艶姿

李若彤引用:李若彤資料 – 010在線

Bond Girl に相当する役どころで登場する李若彤。凄まじい美女なのである!彼女の艶姿は、この作品の大きな魅力。李若彤は《天龍八部》を代表作とする、どちらかと言えば電視劇(テレビドラマ)の大物女優であり、影片演出はさほど多くない。電視劇は視聴が難しいので、電影を追い駆けてみたい。

彼女が演じるのは『琴操』という超高級遊女で、物語の根幹に大きく関わる重要人物。あの衣装、最高である!琴操は、皇帝が妾とすべく目をつけた女性であり、零零發に課せられた任務は「琴操が皇帝の妾に相応しい女性であるかの調査」であった。本当にそれだけの任務であったのか?それとも「背後に潜む事件」を承知の上での任務であったのか…は定かではない。

思うに、あのアホ皇帝は、単に妾の調査だけを考えていたが、零零發は既に実情を知っていたのだ。それはともかく、皇帝の3000人の妾は、なんというか…あのスローモーションで駆け寄ってくる女性たちの満面の笑み…本当に可哀想だ。

愛妻家『靈靈發』とその妻、名前そのまま『嘉玲』の深い愛。

90s の星爺は「女遊びが好きで、何事もいい加減、宵越しの金は持たない主義の二枚目半」といった役が印象にあるのだが、靈靈發は類稀なる愛妻家。自身が監督・脚本・主演する本作では「愛妻家」を演じているのだ。Public Image に対する Antithèse も含まれているか?この役もまた見事にハマっている。

妻役は劉嘉玲。演技とは思えない程に夫婦仲が良く、見ていて羨ましい。劉嘉玲の珍しい実績では France, Nantes で行われている映画祭 Festival des 3 Continents において、1991年《阿飛正傳》の "Mimi lulu" 役で Prix d’interprétation féminine(最佳女主角)を受賞している。

《勇者無懼》の「白黒の操り人形」が再登場!

《勇者無懼》美国版DVD
袁和平《勇者無懼》1981

敵役は『無相王』とその妻、息子による妖術使い家族。息子役を袁信義が演じている。《勇者無懼》での殺人狂役が印象深いが、今回はどちらかと言うとギャグ要員。「顔が怖い」というのが大きなネタになっている。そもそも、深刻な人物が少ない作品ではあるのだが。母親役は袁信義の実兄である袁祥仁。台灣電影でギャグばかりやっている人だが、女装にはさすがに驚いた!

そして、本作でも《勇者無懼》で使用された「白黒の操り人形」が登場する。袁兄弟の提案で再利用されたのだろうか、あの「どちらが本体かわからない」独特の動き…袁信義の「なぜわかった!?」という驚きが最高。

袁信義がボケると、星爺が飛んできて、薪雑把でしばきまくる!多くの人にトラウマを植えつけたという《勇者無懼》における袁信義の狂演を知っていれば、なおさら衝撃的。まさかの新喜劇的展開…すんのかい!という叫びが聞こえてきそうだ。それと、あき恵さん・珠ちゃん的扱いだが、苑瓊丹は実は可愛い。

なお、袁家班の袁祥仁と袁信義、そして劉家班劉家榮 は、誰もが知る李連杰の《黃飛鴻》にて第十一屆香港電影金像獎の最佳動作指導を獲獎している。

靈靈發は凌凌漆の遠い祖先かも?

《大內密探零零發》日版DVD
《大內密探零零發》日版DVD

星爺の導演二作目。谷德昭との共同監督かつ脚本に携わっている。星爺の導演デビュー作は、本作とは直接の繋がりはない前作《國產凌凌漆》であり、こちらは李力持との共同監督。

現代劇であった前作と異なり、本作は江湖に展開される。主人公『靈靈發』は、中國産 James Bond である『凌凌漆』の次に生み出された人物であり四名いる皇帝直属の密偵のひとり。『凌凌漆』の遠い祖先の物語なのかも知れない。

密偵は各々が「恭喜發財」の各一文字を担っている。恭・喜・財が、各々驚異的な体術を駆使する超人であるのに対し、靈靈發はまったくもっての運動音痴。とてもじゃないが密偵など務まりそうもない頼りない男だ。しかし、彼は「発明」という天賦の才を持って生まれたのである!

靈靈發が掲げる文字は「發」だ。それは「ひらめき」という意味を内包している。靈靈發は、いかにして使命を達成するのか。是非とも映画を見て、文字通りの「仰天」発明(ご覧になった方は意味がおわかりでしょう)を楽しんで欲しい。ちょっとの客串だが、江欣燕の美貌にも注目。

恭喜發財とは?

恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)とは中華圏の新年の挨拶。日本における「明けましておめでとう」に相当するが、その意味は「お金持ちになれますように」という直線的なもの。「發財」はよく耳にする単語だ。本作の封切りは1996年02月16日であり、1996年の香港の旧正月の元日ないし前後日であったのだろう。実に豪華な新春映画である!

新年と言えば「恭喜發財」《凌凌漆》の次だから《零零發》そして「發明」という連想。この繋がりが見事。発明家の密偵なんて斬新!それにしても星爺の女装は衝撃的だった…ごっつい感じだが、そもそも二枚目なので、さほど違和感がない?新年早々、女装した星爺が天女となって宙を舞う姿が見られるとは…香港は凄い。

天外飛仙と Greys

物語中盤まで登場するキーワード「天外飛仙」とは中国の民間伝承であり、中華圏の文化に暮らす人達には馴染み深いものだそうだ。序盤の四人の剣聖や Greys の解剖といった要素は、天外飛仙を大胆にパロディ化しているのだろう。現代風に解釈すれば「天外飛仙」は宇宙人かも知れない。こうした中華圏の文化の根底が垣間見られるのも電影の良いところ。僕も影片を通じて文化面の教養を少しずつ高めていきたい。

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Kazu Spara in 25 May 2017
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