Heijastin

siduction Desperado Reloaded Review

Aptosid から Fork した Distro

"siduction" は Community Driven を標榜している。開発はドイツに戻り、活発に行われている模様。僕は Eee PC 1015PD の OS を siduction へと移行した。「現時点では」という注釈を付けるが、良い選択だと感じている。

Desperado

siduction 2012.1.1 Desperado Reloaded Official website: News :: siduction.org :: debian based live cd development

siduction はドイツの Community 主導による開発。Fedora, OpenSUSE, Linux Mint, Mageia などと同様の形態。言語は英語を規定としており誰でも利用が可能。基本言語は母国語と帰化の多いポーランド語だ。もちろん Debian 基盤なので、日本語環境も容易に整えられる。

Official website の題名内で明記されているように Live CD 用 Distro であることに「こだわり」があるようだ。その系譜は Knoppix (Sep 2000) > KANOTIX (Dec 2003) > sidux (Nov 2006) 改名→ Aptosid (Sep 2010) > siduction (May 2012) となる。初めて知ったのだが Aptosid 派生も5つ存在している。Knoppix から分岐した Distro 群は、さらに枝分かれを繰り返し Sid-based と呼称される一派を形成するに至ったようだ。siduction 誕生の理由は公式ブログに明記されている。少し興味が湧いたので和訳してみた。

siduction へ分岐した理由

Knoppix から sidux へ

Sid 基盤の Distro 界隈を彷徨っているユーザーであれば、いずれ誰もが Knoppix に端を発する KANOTIX から分岐した sidux と Aptosid の歴史を知ることになるだろう。

Aptosid について、技術的な側面から言うべきことは多くない。堅実で、規定に沿った定期的なリリースがなされており、責任を持ってメンテナンスされている。ひとことで言えば「ちゃんと動く」というやつだ。sidux において約束された「成功」が Aptosid への改名後も成就されない最大の理由は、開発チームとユーザーが繰り広げる論争にある。これは開発者チームが、コミュニティの存在自体を望んでおらず、迷惑とすら思っている節があることを暗示している。そして遂に Distro 批判を理由に、あるユーザーの一派が Aptosid から追放された。私が理解すべきだったのは、例え私が開発チームと肩を並べる技術を持っていたとしても、最初からそこに未来などなかったということだ。

Sidux から Aptosid へ

siduction に参加するユーザーが Aptosid の二の舞となることはあり得ない。私は希望を持ち続けているし、不条理なまでに極端な「検閲」を「自由な発言と尊重」に置き換えた新しいプラットフォームをドイツのユーザーに提供すべく励んでいる。siduction のフォーラムが継続する限り、このコンセプトに疑問符がつくことはない。私が知る限り、ユーザーを無力化したり、追放したりするのは Aptosid.com だけだ。

Aptosid からユーザーに優しい OS へ

もっとも、これだけが分岐の理由ではなく、これだけが私達のアイデアでもない。私達はユーザーと共に歩むことが Distro 発展の最重要要素であると認識している。何を差し置いても、開発側の意向とユーザー側の需要が互いに譲り合うことが、フリーそしてオープンなソフトウェアの基本概念だ。この概念は、上流の管理においても有効とする。可能なだけ Debian にフィードバックを返すべきなのだ。Aptosid において、私の「Debian との親和性を高める」という努力は、常に白い眼で見られてきた。実現可能な案件であっても、退かざるを得なかった。例えば Debian ユーザーからの Ceni に対する需要があるのだが、未だに Debian の公式パッケージには含まれていない。バグレポートを Debian に渡す簡潔なバグトラッキング構造があった試しもなかった。今こそ変えなくてはいけない。

昨今の Aptosid のアートワークは、以前にも増していい加減なものになっており、もはやコンセプトすら認識不能な酷い状態になってしまった。「コーポレートデザインの確立」という試みは sidux 時代になされているが、アートチームの2名が脱退してしまい失敗に終わっている。そのため Aptosid におけるデザインは「コーポレートデザインの再確立」という重要な意義を持つはずだが、むしろ酷くなっている。

siduction 開発チームは、カーネルオプションやパッケージ選択、そして Aptosid が K-menu で提示しているような Pre-configurations といった開発側の好みを、来たるべきユーザーに押し付けることはない。それがどれだけ賢明な選択だと思われたとしても、コミュニティとの共同決定を必須とする。私達は常にフリーソフトウェアとフリーのドライバを優先するが、非フリーなものを妨げるようなことは絶対にしない。私達の主張における「フリーとプロプライエタリが何であるのか」を知ることは、ユーザーにとって重要なことだ。つまり、それは私達ではなく「ユーザー自身が決定すべき」ものなのだ。

siduction 2012.1.1 Desperado Reloaded の使用感

僕は EeePC 1015PD で Aptosid を使用していた。つまり siduction に載せ替えてしまった。自分の環境にとっては、あくまで「現時点において」正解。Aptosid, siduction どちらも先が読めないので、数カ月後には「誤選択だった」という結末もあり得る。

現在のところ siduction には Aptosid が本来行なっていて然るべき「改善」が盛り込まれており Ceni と Network Manager の両立が実現されている時点で Laptop 系における使い勝手は Aptosid より遥かに高い。分岐理由はさておき「行動力」においては siduction に軍配が上がる。なにより、各リリースの変更内容が公開されているので、納得して使用出来る。

また btrfs をサポートしている点が Aptosid とは異なっており、実験環境としての有用性もありそうだ。ただ Live CD の ISOイメージを USB Stick にコピーして使用する場合、利用可能な Format は ext2, Fat のみという制限がある。

僕が嬉しいと感じた進化・改善

  1. Network Manager, Ceni が併用可能、さらに独自の Wi-Fi 接続専用ツールも用意されている
  2. Network Manager, Ceni の切り替え作業が自動化されている
  3. Network Manager で確立した Wi-Fi 接続が init 3 移行後も継続される
  4. Razor-Qt が利用可能

siduction では Network Manager と Ceni の両立がなされている。NM 利用中に Ceni を起動すると「NM を終了して Ceni に切り替えますか?」というダイアログが表示され、切り替え作業を自動で行なってくれるのだ。これぞ、まさに待望の機能。また、一度 Network Manager で接続を確立すると init 3 移行後も接続が継続される。つまり dist-upgrade 時のみ CUI に切り替えるという行動が Aptosid より遥かに合理的に行えるのだ。Aptosid は init 3 でしか dist-upgrade 不可能という性質を持っているのだから、本来はこうあるべき。これで Tethering 問題など Aptosid に抱いていた不満は解消された。

さらに Razor-Qt も正式リリースに組み込まれており、現在は実験版ながら利用可能。こうした軽量かつバッテリー消費の少ない DE の選択にも Laptop を視野に入れた、現在進行形ユーザーの意見を汲み取っている事実が伺える。

東映「仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼」Blu-ray (2009)
東映「仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼」Blu-ray (2009)

無法者をテーマにした独自の Artwork

Desperado(無法者)と銘打った Release を象徴する Artwork には味がある。Aptosid から追放された自分たちを 60s マフィア映画に登場するような Desperado になぞらえたのだろうか。Concept の一貫性も見て取れるし、なにより Original Illustration を描き上げている点で、他の Distro とは一線を画している。そこらの Distro に溢れている Vector を組み合わせただけのお手軽な壁紙とは比べるまでもない。

Aptosid Ponos の Artwork の隠れたモチーフ

実を言うと僕は Aptosid Ponons の Artwork が嫌いではなかった。あの Kitsch さには軽い衝撃すら覚えたのだ。Outline だけの平面サソリが Desktop の読み込み度合いに応じて完成していく「式神召喚」的な Splash Screen と、鬼が切り裂いたかのような壁紙…今まで真紅だった Corporate Color が、いきなり濃紺に近い紫になったのにも驚いた。作者は「響鬼」が大好きなアメリカの少年で間違いない。

USB Stick からインストールする

siduction を USB Stick から Install する場合は、まず ext2 で Format する必要がある。siduction 自体は ext4 を規定としているが Live 環境は ext2 でないと動作しない。公式文書によると Fat も利用可能だ。以下に具体的な手順を示すが、これは USB が /dev/sdf1 で ISO イメージを ~/Downloads に保存した場合。

mkfs.ext2 /dev/sdf1
cat ~/Downloads/siduction-*.iso > /dev/sdf

物理ディスクの Format が必須

File Format, Partitions を変更しない場合でも、物理ディスクの各 Partitions は予め Format しておかないとインストールに失敗する。Installer を開始する前に Live 環境から fdisk, mkfs などで物理ディスクの状態を整えておくと進行がスムーズだ。僕の場合は Partitions 設定を反映するために再起動する必要があった。インストールは Update 内容を含まないため、短時間の内に完了する。僕の Eee PC 1015PD でも10分弱だ。そして、その後の dist-upgrade で20分ほど待たされることになる。

僕自身の当面の選択

APT に慣れ親しんでいるユーザーが「安定」するのは Debian だと思う。開発チームの細分化が激しい Sid-based の Distro を使うなら「消失」という最悪の結果も考慮すべきだ。かと言って、今すぐ Debian に切り替えるかというと、それも面白味がない。それに Sid-based には低リスクで Debian Experimental Packages が利用出来るという特典がある。現在のところは siduction を使いつつ、僕の旧型 Netbook でも快適動作かつ長期利用可能な Distro 探しを続けていくつもりだ。

Tags